2005 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症の発症・進展におよぼすアディポネクチンおよびその受容体の役割
Project/Area Number |
16590800
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
内田 俊也 帝京大学, 医学部, 教授 (50151882)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / アディポネクチン / 受容体 / 糸球体毛細血管内皮細胞 / メサンジウム細胞 / RT-PCR |
Research Abstract |
血清アディポネクチンは内蔵肥満患者では低下し、耐糖能低下を招く要因の一つと考えられており、メタボリックシンドロームの基本病態の一つである。メタボリックシンドロームはやがて血管病を引き起こし、心臓、脳および腎臓などの標的器官の臓器不全を招いて死に至らしめる。アディポネクチンの腎における役割についてはほとんど不明であり、メタボリックシンドロームにおける腎臓病の発症と進展を防止するためには、早急な役割解明が必要である。 そこで、アディポネクチンと腎の関係を明らかにする目的で、まずアディポネクチン受容体の腎内における存在様式について研究を進めた。さらに、糖尿病性腎症における受容体発現の変化、さらには外因性のアディポネクチンが腎の機能と形態に及ぼす影響について分子生物学的に検討した。 1)免疫組織化学 アディポネクチンに対する特異的抗体を用いて染色したところ、腎の糸球体とくに内皮細胞に明らかな染色が認められ、受容体の存在の可能性が示唆された。血管内細胞の特異的抗体(PECAM-1)との二重染色でも内皮細胞に局在することが確認された。ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットを用いた経時的変化では、8週より24週で蛍光強度が増加していたが組織染色は糖尿病の進行とともに上昇し、メサンジウム細胞特異抗体(Thy-1)との二重染色において、メサンジウム細胞の染色も確認した。血清アディポネクチンレベルは24週で糖尿病群で低値であった。 2)アディポネクチン受容体のreal time RT-PCR アディポネクチン受容体にはadipoR1とadipoR2が同定されている。それらの発現量の変化をreal time RT-PCRで定量した。内部コントロールとしてGAPDHを用いて検討したところ、受容体の発現量自体には大きな変化は認められなかった。 以上の結果から、血清のアディポネクチンレベルは糖尿病状態で低下する一方で、腎糸球体での結合は亢進した。これが受容体を介した特異的結合であるかは不明である。今後in situ hybridizationなどでさらに検討する必要がある。
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Research Products
(3 results)