2004 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症における新規治療法開発-脂肪酸結合蛋白の腎保護作用の検討
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16590803
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
木村 健二郎 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (00161555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅谷 健 シミック株式会社, 経営企画部, FABPプロジェクトリーダー (40381561)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 肝臓型脂肪酸結合蛋白 / 尿中微量アルブミン / 間質尿細管障害 / 尿蛋白 / 遺伝子導入動物 / バイオマーカー / 早期診断 |
Research Abstract |
ヒト近位尿細管には、細胞内の脂肪酸代謝に関与する肝臓型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)が発現している。私たちは、近位尿細管から尿中に排泄されるL-FABPのELISAによる測定法を開発した。そこで、本研究では、透析導入原因疾患の第一位である糖尿病性腎症をターゲットにL-FABPの動態と尿中L-FABPの臨床的意義を検討した。 1.糖尿病性腎症におけるL-FABPの動態(基礎的研究) (1)げっ歯類にはL-FABPが発現していないため、ヒトL-FABP染色体遺伝子導入(Tg)マウスを使用し、ストレプトゾトシン(STZ)糖尿病モデルを作成した。 (2)STZ糖尿病のTgマウスでは、間質尿細管障害が認められ、近位尿細管におけるL-FABPの遺伝子発現(real time PCR法)は、コントロールに比べ有意に増加した{L-FABP/GAPDH;0.23(コントロール) vs 1.44 (STZ)}。 (3)STZ糖尿病のTgマウスでは、尿中へのL-FABP排泄量が増加した。 これらの結果から、糖尿病では、近位尿細管におけるL-FABPの遺伝子発現は亢進し、尿中への排泄が増加する事が示された。 2.糖尿病性腎症における尿中L-FABPの臨床的意義(臨床的研究) (1)糖尿病(n=147)の患者を対象に尿中L-FABPを測定した結果、尿中L-BABPは、腎症の進行と相関し、上昇した。 (2)尿中L-FABPは、微量アルブミンが検出されない腎症1期において、正常者(n=79)より有意に高値であった。 これらの結果より、尿中L-FABPは、糖尿病性腎症の早期診断に有用なバイオマーカーになりうると考えられた。
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