2004 Fiscal Year Annual Research Report
IgA腎症の成因と治療法の検討 -ヒトIgA1糸球体沈着動物モデル作成とその適用-
Project/Area Number |
16590804
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
比企 能之 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (20156566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 敏 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (50340229)
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Keywords | IgA腎症 / IgA1 / 0結合型糖鎖 / ガラクトース / シアル酸 / N-アセチルガラクトサミン / メサンギウム / KMマウス |
Research Abstract |
IgA1分子のヒンジ部分はヒトとマウスで大きく異なりマウスIgAには0結合型糖鎖構造が存在しない事から、動物モデルを用いたIgA1ヒンジ部0結合型糖鎖の解析に有用なマウスモデルは存在し得ず、IgA1分子の構造からのIgA腎症の成因・治療の研究はヒトでしか行えなかった。本研究ではヒト型IgA1を産生するキメラマウスを用いて、IgA腎症で解明されたIgA1ヒンジ部に存在する0結合型糖鎖の異常という実際のヒトの病態に則したモデル動物作成を試みた。 まず、IgA腎症患者血清IgA1、健常者血清IgA1、酵素処理(ガラクトシダーゼ、シアリダーゼ)糖鎖不全IgA1を作製して、ヒト免疫グロブリン産生マウス(KMマウス)に1週間3〜12mg投与したところ、糖鎖不全IgA1投与マウスで全例(14匹)に、IgA腎症患者血清IgA1で50%(3/6)にメサンギウムに顆粒状のIgAの沈着をみた。それに対し未処理健常者IgA1では26.7%(4/15)が陽性であった。以上からIgA1分子の糖鎖不全がIgAの糸球体沈着に関与している事が確かめられた。本検討結果は平成16年第37回アメリカ腎臓学会に報告した。(Hiki Y, Tomita M, Ishida I, Iwase H, Sugiyama S : Continuous administration of human underglycosylated IgA1 causes its mesangial deposition in KM mouse having entire human Ig loci. 37th ANNUAL MEETING OF AMERICAN SOCIETY OF NEPHROLOGY. October 27-November1,2004 Saint Louis (Abstract J An Soc Nrphrol 15:224A,2004) しかし本検討では尿所見の異常や組織障害はみられず、今後、沈着の量の問題かまたはさらなる機序が惹起されるのかの検討を行っていく予定である。 また、この糖鎖不全IgA1の産生機序を明らかにしていくため、本症患者で扁摘が治療効果がみられる症例があることに着目し、本症患者の摘出扁桃のリンパ球産生IgA1の特性を検討している。
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Research Products
(6 results)