2004 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経組織の損傷・ストレス負荷に対する防御機構-液性因子とコレステロール代謝調節-
Project/Area Number |
16590839
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
伊藤 仁一 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (60167260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 信治 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10142192)
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Keywords | アストロサイト / FGF-1 / apoE / HDL / コレステロール / ストレス / オートクリン |
Research Abstract |
脳は体全体の約25%ものコレステロールを占有する高コレステロール含有組織である.近年、アストロサイトの産生するcholesterol/HDLがシナプス形成に重要な因子であることが報告され、脳のコレステロールが中枢神経組織の維持および機能発現に重要な役割をもつことが示唆された.本研究では、血液脳関門によって循環系システムから隔絶された脳内ニューロンやアストロサイトのコレステロール代謝およびコレステロール輸送機構を理解することを目的とし、脳損傷・ストレス負荷時に脳内あるいはアストロサイト培養系において産生されるFGF-1によるapoE/HDL新生の制御機構を解析し、アストロサイトのストレス応答におけるFGF-1/apoE産生システムの役割を検討した. 長期培養ストレスを負荷されたラット大脳細胞はfibroblast growth factor-1(FGF-1)様因子を産生・分泌し、アストロサイトのapoEおよびコレステロールの産生と分泌を強く促進した.FGF-1 mRNAのRT-PCR、抗FGF-1抗体による免疫染色、さらに^<35>S-Methionineラベル後の細胞抽出液あるいは培養ろ液の抗FGF-1抗体による免疫沈降によりFGF-1様因子産生細胞の同定を試みたところ、長期培養されたアストロサイトがFGF-1を産生し、オートクリン的に作用することが認められた.一方、長期培養ストレスを負荷されたアストロサイトはFGF-1の反応に著しい低下が認められた.以上のことから、FGF-1の産生はapoE産生に先行すること、またFGF-1/apoEシステムはストレス応答において、ストレスを受けていないアストロサイトに対する作用として大きな役割をもつことが示唆された.
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Research Products
(4 results)