2005 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病合併妊娠の胎児奇形発生機序における一酸化窒素の関与の解明と予防法の開発
Project/Area Number |
16590875
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村瀬 孝司 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (40335005)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 善晴 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80174308)
大磯 ユタカ 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40203707)
|
Keywords | 糖尿病 / 胎児奇形 / 一酸化窒素 / アポトーシス / 神経管閉鎖不全 |
Research Abstract |
従来、糖尿病合併妊娠では先天奇形の発症率が高いことが知られている。糖尿病合併妊娠における奇形の発症機序はいまだ不明な点も多いが、従来高血糖に伴うフリーラジカルの産生と酸化ストレスの増加の影響が想定されている。一方、糖尿病母体の胎児体内ではフリーラジカルである一酸化窒素(NO)産生が亢進していることが報告されている。そこで、糖尿病合併妊娠マウスモデルを用い、胎仔におけるNOの産生と、NOS阻害剤の胎仔奇形発症予防効果について検討を重ねた。方法としては、雌ICRマウスにstreptozotocinを投与して糖尿病を誘導した後交配し、糖尿病妊娠マウスを作成した。器官形成期である妊娠9.5日に胎仔を摘出して、胎児内NO量を測定するとともに、whole-mount免疫組織化学により各種NOSの発現を、また、TUNEL染色によりアポトーシスを観察した。さらに、糖尿病母体に妊娠7日より10日まで非選択的NOS阻害剤であるL-NAMEあるいは選択的iNOS阻害剤であるONO1714を腹腔内投与し、妊娠18日に開腹して胎仔の奇形を観察した。その結果、糖尿病母体の胎齢9.5日の胎仔では、NO産生量の増加と、神経管におけるiNOSの強い発現が認められ、TUNEL染色でアポトーシスを示す細胞が観察された。神経管ではニトロチロシンの免疫染色も認められ、NOによる神経管細胞の傷害が示唆された。また、糖尿病母体の胎児では37%に外脳症、二分脊椎などの重篤な神経管欠損が認められたのに対し、L-NAME群では5%、ONO1714群では7%と神経管欠損の発生率がいずれも著明に低下していた。さらに、iNOSノックアウトマウスを用いて糖尿病妊娠モデルを作製すると、野生型マウスに比べ、各種奇形の発生率が著しく減少していた。特に神経管閉鎖不全は全く認められなかった。以上の結果より、糖尿病合併妊娠における胎児では、iNOSの発現が増加して過剰に産生されたNOが神経管細胞のアポトーシスを誘導し、神経管閉鎖不全をはじめとする各種奇形を惹起するものと考えられた。
|
Research Products
(2 results)