2004 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリック症候群発症の分子機構の解明:CD36欠損状態をモデルとして
Project/Area Number |
16590882
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平野 賢一 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30332737)
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Keywords | CD36 / メタボリック症候群 |
Research Abstract |
CD36欠損症は、我が国において発見された高頻度に認められる遺伝的疾患であり、申請者らは世界に先駆けて本症がインスリン抵抗性、脂肪酸ダイナミズム異常に関連して高脂血症、耐糖能異常などメタボリック症候群の表現型を呈すること、またその表現型は加齢、脂肪負荷など後天的要因によって大きく変化する可能性を示した(Lancet.2001. Diabetes Care, 2003.Trends Cardiovasc Med,2003)。 本年度は、CD36ノックアウトマウスに、オリーブ油を負荷することによって、CD36欠損症と同様に食後高脂血症を来すことを確認したのち、以下の検討を行った。 Triton WRを静脈内投与して、血清トリグリセリド値を経時的に測定することによって、肝臓からのトリグリセリド分泌を検討したところ野生型とノックアウトマウスで差を認めなかった。Triton WRを静脈内投与下後に、オリーブ油負荷を行い、経時的にトリグリセリドを測定するとノックアウトマウスでは、トリグリセリドの上昇が野生型より極めて速く生じた。このことから、ノックアウトマウスでは小腸からのトリグリセリドリッチリポ蛋白の分泌が多いことが示唆された。そこで、オリーブ油負荷マウスを経時的にと殺して小腸上皮細胞をオイルレッドO染色したところ、ノックアウトマウスでは負荷後、30分ですでに上皮細胞内に油の吸収像が観察された。さらに、マウスの腸リンパ管液を採取し、トリグリセリド値を測定したところノックアウトマウスでは、著明に増加していた。以上より、CD36欠損マウスでは、オリーブ負荷後、小腸よりの脂質吸収が亢進しており、これが食後高脂血症の原因と考えられた(投稿準備中)。
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Research Products
(2 results)