2004 Fiscal Year Annual Research Report
SHPS-1/SHP-2シグナル伝達系による中枢性エネルギー・糖代謝調節
Project/Area Number |
16590884
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
野口 哲也 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10372640)
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Keywords | 肥満 / レプチン / エネルギー代謝 |
Research Abstract |
チロシンホスファターゼによる視床下部レプチン受容体(OB-Rb)の脱リン酸化が、レプチン作用を抑制することが以前より示唆されている。私共は、OB-Rbのリン酸化調節に関わるチロシンホスファターゼSHP-2およびその基質SHPS-1(SH2-containing Protein Tyrosine Phosphatase Substrate-1)の生理機能を解析してきた。本研究は、私共の作成したSHPS-1遺伝子ノックアウト(KO)マウスの解析を通して、SHPS-1/SHP-2シグナル伝達系による中枢性エネルギー・糖代謝制御機構を明らかにすることを目的として進められている。なお、すべての実験にはC57BL6系統へ7世代の戻し交配を施行したマウスを用いた。普通食飼育下におけるKOマウスの体重は、生後26週まで野生型コントロールマウスとの有意差を認めなかったが、それ以降の増加が抑制され、32週齢においては、コントロールマウスに比較して、約15%程度軽くなることを見出した。生後8週より開始した8週間の高脂肪食負荷試験においても、KOマウスの体重増加はコントロールマウスに比較して有意に抑制されていた。レプチン作用を反映する摂食量に関しては、いずれの飼育条件においても両群間に差は認めなかった。普通食飼育下の随時血糖値は、生後7ヵ月まで両群同等であった。また、血中インスリンレベルはKOマウスで低い傾向にあったが、統計学的有意差には至らなかった。このように、KOマウスは肥満しにくいと予想されたものの、レプチンやインスリンに対する感受性の亢進、あるいは耐糖能の増強を示唆する所見は今までのところ得られていない。
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