2005 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア活性化・新生による活性酸素の制御と糖尿病合併症治療への応用
Project/Area Number |
16590889
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西川 武志 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (70336212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮村 信博 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (40274716)
榊田 典治 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (50170577)
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Keywords | 糖尿病 / 糖尿病合併症 / ミトコンドリア / 酸化ストレス / AMPK / PGC-1α / MnSOD / ミトコンドリアバイオジェネシス |
Research Abstract |
申請者らは糖尿病合併症発症におけるミトコンドリア由来活性酸素(mtROS)過剰産生の意義を提唱している。昨年度はAMPK活性化によるmtROS制御の可能性を明らかにしたが、本年度はAMPKの下流分子であるPGC-1αとmtROSおよびミトコンドリアバイオジェネシスとの関連を検討するため、以下の1〜4を行った。 1.AMPK活性化によるPGC-1α発現誘導:メトホルミンはPGC-1α mRNA発現を増加させた。また、ドミナントネガティブ作用を持つAMPKα1(T172A)の過剰発現はメトホルミンによるPGC-1α mRNA発現増加を抑制した。 2.PGC-1αによるmtROS抑制効果:PGC-1α過剰発現細胞では高グルコース培養によるmtROS産生を完全に抑制した。 3.AMPK-PGC-1α経路のMnSOD発現増加作用:メトホルミンはMnSOD mRNA発現を増加させた。また、AMPKα1(T172A)の過剰発現はメトホルミンによるMnSOD mRNA発現増加を抑制した。さらに、PGC-1α過剰発現細胞では著明なMnSOD mRNA発現増加を認めた。 4.AMPK-PGC-1α経路のミトコンドリアバイオジェネシス促進作用:メトホルミン、PGC-1α過剰発現にてNRF-1、mtTFA mRNA、ミトコンドリアDNAおよびミトコンドリア数の増加を認めた。さらに、AMPKα1(T172A)の過剰発現はメトホルミンによるこれらの現象を抑制した。 以上より、本年度はAMPK-PGC-1α経路の活性化がmtROS除去酵素であるMnSODの発現増加を引き起こし、高グルコースによるmtROS産生増加を抑制していること、またAMPK-PGC-1α経路の活性化はミトコンドリアバイオジェネシス促進作用も併せ持つことを明らかにした。AMPK、PGC-1αは糖尿病合併症治療薬の開発のための標的分子である可能性が示唆される。
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Research Products
(6 results)