2005 Fiscal Year Annual Research Report
抗糖尿病作用を有するレプチン作動性視床下部液性因子の同定とその機能解析
Project/Area Number |
16590890
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
加隈 哲也 大分大学, 医学部, 助手 (80343359)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉松 博信 大分大学, 医学部, 教授 (00166993)
|
Keywords | レプチン / STZ誘発糖尿病モデル / AGRP / 神経ヒスタミン / GLP1 / CRH / グレリン |
Research Abstract |
レプチンによる中枢性糖代謝改善作用の特異性について検討した。レプチンの中枢投与では、血中インスリン、レプチンの濃度には全く影響がない。このことはレプチンの中枢投与による効果は、中枢での特異的作用であることを示している。レプチンの中枢作用はインスリンによる中枢作用と独立したものであることを確かめるために、STZ誘発糖尿病モデルラットを作成し、摂食亢進に働くAGRP遺伝子発現を検討した。AGRP発現はSTZラットでは増加しており、過食の原因の一つと考えられた。それはレプチンの中枢投与では正常化したが、インスリンの中枢投与では全く変化がなかった。一方、インスリンの腹腔内投与ではAGRP発現は部分的に低下したことより、STZ糖尿病に認められるAGRP遺伝子発現の亢進は、低レプチン血症を介した間接的な効果であることが判明した。我々は、レプチンの中枢作用を担う分子として、以前から神経ヒスタミンに注目している。またレプチンの下流で働く摂食抑制作用をもつ因子としてCRH、GLP-1があり、これらの相互作用について検討した。1,神経ヒスタミンの賦活化は、レプチン受容体異常モデルであるdb/dbマウスのみならず、その下流で摂食抑制作用の中心を担うメラノコルチン系シグナル不全マウスであるA^y/aマウスにおいても、摂食抑制、末梢エネルギー代謝改善作用を示した。2,CRH受容体のantagonistの前処理により、レプチンの中枢作用(摂食抑制、末梢エネルギー代謝改善作用など)は抑制された。3,GLP1はCRHを介して、またCRHはヒスタミンを介して作用している。一方、GLP1からヒスタミンの直接作用はないことが判明した。さらに、STZマウスではグレリンの増加が認められ、過食の別要因と考えられるが、グレリンの中枢投与では褐色脂肪組織へ至る交感神経活動の抑制が観察された。またレプチン投与でグレリンの増加は抑制された。以上の知見は、神経ヒスタミン、GLP1やCRHなどの中枢性因子と、グレリンのような末梢性因子の相互作用により、「レプチンによる中枢性糖代謝改善作用」は規定されることを示している。
|
Research Products
(6 results)