2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590920
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
張替 秀郎 東北大学, 病院, 講師 (50302146)
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Keywords | ヘム / 赤血球造血 |
Research Abstract |
赤血球造血に関わる分化制御機構の詳細は未だ明らかとされていない。我々はヘムがこの制御機構の中心を担っていると考え、マウスES細胞及び赤血球型δ-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS2)欠損マウスES細胞をin vitroにて分化誘導し、得られた野生型赤芽球とヘム欠損赤芽球の遺伝子発現プロファイルをcDNAアレイにより比較検討することにより、ヘム制御下にある赤血球特異的遺伝子群の同定を試みた。最初に、対象となった8737の遺伝子から、定量PCR法にてマウスの骨髄細胞において赤芽球系列特異的に発現を示した11遺伝子を抽出し、さらにこの11遺伝子のうちNorthern blot法及び定量PCR法により造血組織に強い発現を示した4遺伝子に絞り込んだ。この4遺伝子のいずれも細胞内ヘム濃度と発現量が相関を示したため最終的な候補遺伝子とした。4遺伝子は、既に報告のあるUCP2(uncoupling protein 2)、NuSAP(nucleolar spindle associated protein)、CNBP (cellular nucleic acid binding protein)と、未知の1遺伝子であった。未知の遺伝子は、in vitro acetyltransferase assayの結果より新規のヒストンアセチルトランスフェラーゼであると考えられ、HE-AT1(Heme-regulated Erythroid-specific Acetyl Transferase 1)と名づけた。以上の結果より、ヘムは赤血球造血において多岐にわたる遺伝子群の発現を制御しており、今回同定された候補遺伝子の解析が赤芽球分化制御機構の解明に寄与すると考えられた。
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