2005 Fiscal Year Annual Research Report
発作性夜間血色素尿症の異常細胞クローン拡大機序の解明
Project/Area Number |
16590940
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 良子 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (00304048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 タロウ 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10153165)
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Keywords | PNH / HMGA2 / PIG-Y / Erilp / GPI |
Research Abstract |
GPI欠損造血幹細胞が良性腫瘍性増殖を起こす要因の解明 GPI欠損細胞でのみで、染色体異常が見られる患者の解析を手がかりに腫瘍性増殖をおこす遺伝子変異を探索している。遺伝子異常によってHMGA2遺伝子の3'UTRが欠損する結果、正常では発現しないHMGA2がGPI欠損造血幹細胞で異常発現することにより、クローンの拡大が起こっていると考えられる。新たに同様の症例が国外で見つかり、その解析の結果、やはりPNH細胞でのみ染色体異常がみられ、それによって上記と同じ機序でHMGA2の異常発現が起こっていることがわかった。これはすなわちHMGA2異常発現がPNH細胞クローンに関わっていることを強く示唆するものである。しかしながら昨年度の報告書にも記したが、複数のPNH患者と正常人の末梢血のリンパ球および単球において、HMGA2のmRNAを定量的なRT-PCRにより比較したところ、末梢血においては両者とも微量で差がないことがわかった。上記の2症例の末梢血においてもHMGA2の発現がみとめられなかったことから、PNH細胞が実際に正常細胞を凌いで増加する骨髄細胞において調べる必要があると思われた。またHMGA2の3'UTRを欠損した遺伝子のトランスジェニックマウスを作成し、骨髄細胞において確かにHMGA2の発現が確かめられた。 また、実験計画で報告した手法によりGPI生合成の最初のステップに必要な遺伝子PIG-Yをクローニングしたことを昨年度の報告書にも記した。hPIG-YはYeastのErilpのホモログであると考えられるが、Yeastで見られたような活性型のRasファミリー蛋白との結合や相互の機能抑制といった現象は認められなかった。よってPNH細胞がGPI合成の最初のステップに関わる酵素複合体がないために、active-RasとのERでの結合がおこらず、Rasが細胞膜で活性化される結果PNH細胞のクローン拡大がおこるという仮説は,ほ乳類の細胞ではなりたたないことがわかった。
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Research Products
(1 results)