2004 Fiscal Year Annual Research Report
小児急性リンパ性白血病における異常メチル化の解析と新規癌抑制遺伝子の同定
Project/Area Number |
16590943
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
武内 世生 高知大学, 医学部, 講師 (50253349)
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Keywords | 小児急性リンパ性白血病 / 異常メチル化 / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
近年、癌抑制遺伝子のプロモーター部分のメチル化が、癌抑制遺伝子不活化の原因の一つになっていることが明らかになった。しかしながら、これまで行われてきた白血病における癌抑制遺伝子の研究では、癌抑制遺伝子のプロモーターのメチル化に注目した研究はあまりなされていない。それゆえ白血病における癌抑制遺伝子プロモーター部分のメチル化の解析がその発症メカニズムを理解する上で極めて重要である。本年度行った研究にて、申請者は以下の二つの知見を得た。 (1)小児急性リンパ性白血病(ALL)における各種癌抑制遺伝子プロモーターのメチル化の検討。 95例の小児ALL検体を用い、methylation specific PCR法にてp14,p15,p16,RB, hMLH1,MGMT, APC, RARbeta, DAPK, FHIT, p21,p27,cyclinD2,SHP1遺伝子の異常メチル化を解析した。その結果、RAR beta(33%),FHIT(28%),p15(25%)において高頻度のメチル化が認められた。一方、p14およびp21遺伝子には、異常メチル化は全く認められなかった。現在、これらの遺伝子異常メチル化の予後への影響を解析中である。 (2)成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)におけるAPC遺伝子プロモーターのメチル化の検討。 31例のATL検体を用い、methylation specific PCR法にてAPC遺伝子の異常メチル化を解析した。その結果、48%の検体において異常メチル化が認められた。臨床病期別の検討では、慢性型より急性型においてより高頻度に異常メチル化が認められた。APC遺伝子の異常メチル化を有する細胞株は、APC遺伝子は発現していなかったが、この細胞を5-Azacytidineで処理すると、APC遺伝子の発現が回復した。以上より、APC遺伝子の異常メチル化はATLの発症および進展に関与していると考えられた。。
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