2004 Fiscal Year Annual Research Report
滑膜線維芽細胞の増殖・アポトーシス・分化の方向性を規定するシグナル伝達機序の解明
Project/Area Number |
16590987
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
川上 純 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90325639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折口 智樹 長崎大学, 医学部, 助教授 (90295105)
井田 弘明 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (60363496)
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Keywords | 滑膜線維芽細胞(FLS) / 関節リウマチ(RA) / IFN-γ / TRAIL依存性アポトーシス / JAK / STAT / 蛋白合成 / caspase-8 / アポトーシス関連蛋白 |
Research Abstract |
滑膜線維芽細胞(FLS)のアポトーシス抵抗性は、関節リウマチ(RA)の滑膜組織増殖に深く関与している。IFN-γはRAの病態を増悪させるサイトカインであり、昨年度までの検討で、IFN-γはFLSの脂肪様細胞への分化を抑制することがわかった。今年度は、IFN-γのFLSに関するシグナル伝達をアポトーシス制御の観点から研究した。IFN-γは時間依存性にFLSのtumor necrosis factor-related apoptosis inducing ligand (TRAIL)誘導性アポトーシスを顕著に抑制した。アポトーシスの抑制は、caspase-8活性化抑制、ミトコンドリア機能異常の抑制およびDNA断片化の抑制のすべての点で認められた。IFN-γはFLSのsignal tansducers and activators of transcription (STAT) familyを強く活性化し、STAT活性化の抑制[Janus kinase (JAK)活性化阻害剤]と蛋白合成の抑制(蛋白合成阻害剤)により、IFN-γのTRAIL依存性アポトーシス抑制作用はほぼ完全に解除された。リン酸化kinaseのウエスタンブロットとkinase阻害剤での検討では、Akt、extracellular signal-regulated kinase (ERK)およびnuclear factor kappa B(NF-κB)は、IFN-γの抑制作用発現への関与は低いことが示された。これらの結果より、IFN-γはJAK/STAT活性化→蛋白合成の経路でFLSのTRAIL依存性アポトーシスを抑制すること、また、その作用点はdeath inducing signaling complex (DISC)でのcaspase-8活性化のレベルと考えられたが、FLSのFas-associated death domain protein (FADD)、tumor necrosis factor receptor 1-associated death domain protein (TRADD)、Bcl-2関連蛋白、silencer of death domain (SODD)を含む10種類ほどのアポトーシス関連蛋白の発現は、IFN-γ刺激の有無で変化が認められなかった。今後はcDNA microarrayなどを用いてIFN-γが制御する分子を同定し、この分子がIFN-γのFLSの分化制御にも関わっているか否かについて研究する予定である。
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Research Products
(11 results)