2005 Fiscal Year Annual Research Report
滑膜線維芽細胞の増殖・アポトーシス・分化の方向性を規定するシグナル伝達機序の解明
Project/Area Number |
16590987
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
川上 純 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90325639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折口 智樹 長崎大学, 医学部, 助教授 (90295105)
井田 弘明 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (60363496)
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Keywords | 滑膜線維芽細胞(FLS) / 関節リウマチ(RA) / アポトーシス / Akt / P13-K / CaMKII / FLS / 分化 |
Research Abstract |
滑膜線維芽細胞(FLS)のアポトーシス抵抗性の獲得は、関節リウマチ(RA)の滑膜組織増殖に深く関与している。私たちはアポトーシス抵抗性とkinase cascadeおよびkinase crosstalkの関わりを研究し、Akt活性化は翻訳後修飾のプロセスで、FLSのアポトーシスを修飾するがわかった。すなわち、Akt活性化をchemical inhibitorで抑制すると、FLSのTRAIL依存性アポトーシスならびにFas依存性アポトーシスが顕著に増大した。これらアポトーシスを誘導するリガンドはRA関節滑膜組織に豊富に存在するも、Aktをはじめとするkinaseがautocrine機序およびparacrine機序で活性化され、in vivoではアポトーシスが抑制され、滑膜細胞増殖が誘導されることが示唆される。Akt活性化を誘導する上位kinaseとしてはPI3-Kが同定されており、実際、FLSの上記アポトーシス誘導過程でもPI3-K/Akt系は作動しているが、PI3-K以外の上位kinaseでAktが活性化されアポトーシスが抑制される可能性も示唆された。その候補kinaseの一つはCa(2+)/calmodulin(CaMKII)-dependent protein kinase II(CaMKII)であり、動物関節炎モデルでのAktとの共発現および培養ヒトFLSでの発現は、preliminaryだが確認ずみである。炎症性サイトカインとアポトーシスリガンドは刺激が伝達される分子機序で類似点も多く、私たちは前者刺激でFLSの分化能が抑制されることも明らかとした。今後はAktを活性化する上位kinase cascadeの解析に加え、kinase cascadeとFLS分化およびその制御メカニズムの研究も推進したい。
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