2005 Fiscal Year Annual Research Report
SLE患者TCRζ鎖mRNA異常に伴うTCRζ鎖発現低下とシグナル伝達異常
Project/Area Number |
16590993
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
津坂 憲政 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (00245490)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 勤 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (50179610)
|
Keywords | 全身性エリテマトーデス / TCRζ鎖 / signal transduction / cDNA microarray / syndecan-1 |
Research Abstract |
申請者らはこれまで、SLE患者末梢血T細胞(PBT)では、alternative splicingによって生じた短い3'UTRをもつζmRNA(ζmRNA/as-3'UTR)やexon7を欠損したζmRNA(ζmRNA/exon7-)などのζ鎖mRNAスプライス・ヴァリアントが優位に発現されるためにζ鎖発現が低下することを報告してきた。本年度は、これらζ鎖mRNAスプライス・ヴァリアントが優位に発現され、ζ鎖タンパク発現が低下することで二次的にTCR/CD3複合体以外にどのような分子が発現亢進あるいは低下するかについてcDNAマイクロアレイを用いて検討した。Wild type ζmRNA,ζmRNA/as-3'UTR,ζmRNA/exon7-をtransfectさせたMA5.8細胞(それぞれWT,AS3'UTR,EX7-)を抗CD3抗体で刺激後、それぞれの細胞から全RNAを抽出して、逆転写酵素によってcDNAに変換した。このcDNAをプローブとしてmouse cDNA microarray(Agilent technology社)上の各遺伝子発現強度を測定し、WTと比較してAS3'UTRとEX7-の両者でともに発現が低下(ratio<1/3)あるいは亢進(ratio>3)したものを抽出した。その結果、AS3'UTRとEX7-ではWTと比較して各種ケモカイン(CCL9,CCL3,CCL1,CCL5,XCLI)やサイトカイン(IL-2,IL-18,IL-13,IL-15,TGFβ-2)が発現低下していた。一方で、AS3'UTRとEX7-ではWTと比較してpoliovirus related protein-like 2(Pvr12)やsyndecan-1などの細胞接着分子、あるいはgranzyme Aやmatrix metalloproteinase 11などの細胞傷害因子などが著明に発現亢進していることが明らかになった。これらDNA microarrayでのgene mRNA発現はreal-time PCR法でも確認した。さらに、抗CD3抗体刺激後のMA5.8 mutant(AS3'UTR,EX7-,WT)におけるPvrl2,Sdc1,granzyme Aのタンパク発現をWestern blot法で検討した。その結果、AS3'UTRとEX7-ではWTと比較してこれらタンパク発現が亢進し、mRNAだけでなくタンパクレベルでもこれら分子発現亢進が証明された。SLEは臓器非特異的全身性自己免疫疾患の一つであり、その病因についてはいまだ不明な点が多い。しかし、SLE患者PBTでのζ鎖mRNAスプライス・ヴァリアントの優位な発現とそれに伴うζ鎖タンパク発現低下は、TCRICD3複合体発現低下のみならず他の分子の発現低下あるいは亢進を二次的に惹起させこれがSLEの病態と関わっている可能性も示唆された。
|
Research Products
(4 results)