2005 Fiscal Year Annual Research Report
FLT3阻害剤を用いた11q23転座型小児急性白血病に対する分子標的療法
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16591018
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
杉田 完爾 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教授 (60138055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
犬飼 岳史 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助手 (30293450)
合井 久美子 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助手 (70324192)
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Keywords | PKC412 / FLT3阻害剤 / 11q23転座 / 白血病細胞株 / STAT5 / Bim |
Research Abstract |
FLT3阻害剤PEC412の11q23転座型白血病細胞株に対する効果とそのメカニズムを検討した。FLT3キナーゼドメイン内にD835点突然変異があり、FLT3が恒常的に活性化されている2細胞株においては、PKC412濃度50-100nMで、Wild-type FLT3を有する7細胞株においては200-400nMで増殖がほぼ完全に阻害された。BrdU/PI法による細胞回転の解析では、PKC濃度200nMで48時間培養すると有意にG0/G1期の細胞が増加し、S期の細胞が減少した。G0/G1停止の程度にはD835突然変異の有無による差異は認められなかった。Annexin V/PI法によるアポトーシス誘導の検討では、PKC412濃度200nMで72時間培養すると、D835突然変異を有する細胞株では60-70%の細胞に、有しない細胞株では30-40%の細胞にアポトーシスが誘導され、カスペース阻害剤の添加でほぼ完全に阻害された。次に、PKC412による細胞回転停止、アポトーシス誘導の分子メカニズムをWestern blot法で検討した。FLT3のシグナルを伝達する主要分子であるSTAT5はD835突然変異を有する株では強く、有しない株では弱くリン酸化されているが、PKC412(200nM)を添加すると、12時間以内にほぼ完全に脱リン酸化された。他のシグナル伝達分子MAPKとAktのリン酸化もPKC412の添加で種々の程度に脱リン酸化された。また、PKC412の添加で細胞回転を正に制御しているBf-1とcyclin Dあるいはcyclin Eの発現が低下した。一方、細胞回転を負に制御しているp21やp27の発現には変化が認められなかった。アポトーシス関連分子の検討では、PKC412の添加後にBcl-2,Bcl-XL, Bax, Bad, Bidなどの発現に変化が認められなかったが、BH3-onlyに属するアポトーシス誘導分子Bimの著明な発現増強が認められた。以上の結果から、PKC412はシグナル伝達分子の脱リン酸化と細胞回転促進分子の発現低下を誘導することによって11q23転座型細胞株をGo/G1期に停止させ、Bimの発現を増強することで、特にD835点突然変異を有する細胞株にアポトーシスを誘導することが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)