2004 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴリピドーシスモデルマウスを用いた脳機能におけるスフィンゴ脂質の機能解析
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16591032
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松田 純子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (60363149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 泰弘 徳島大学, 副学長 (20035471)
樋田 一徳 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (40253405)
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Keywords | スフィンゴリピドーシス / ライソゾーム病 / モデルマウス / サポシンD欠損マウス / セラミド / 小脳プルキンエ細胞死 / 神経細胞死抑制効果 |
Research Abstract |
スフィンゴ糖脂質のライソゾームにおける遺伝性代謝障害であるスフィンゴリピドーシス(脂質蓄積症)は,その多くが中枢神経系に致死的な病変をきたす難病である。我々は,各種モデルマウスを用いて,その脳病態の解明と治療法の開発に取り組んでいる。本研究では,我々が新たに開発に成功したサポシンD欠損マウスの表現型を解析し,サポシンDおよびセラミド関連物質の生体内,とくに神経系における新たな機能を明らかにした。 スフィンゴ脂質活性化たんぱく質(サポシンA、B、C、D)は共通の前駆体であるプロサポシンから誘導される相同性の糖たんぱく質であり、多くの疎水性スフィンゴ脂質のリソゾームにおける分解に必要である。ヒトのサポシンBおよびCの特異的欠損症は知られているが、サポシンDのヒトの特異的欠損症は今のところ明らかにされていない。サポシンD欠損マウスは、臨床的には多尿と運動失調をきたし、生化学的には腎臓と脳に特異なセラミド(HFA-ceramide)が蓄積し、病理学的には腎尿細管変性と、小脳プルキンエ細胞の選択的細胞死を呈した(Matsuda J et al., Hum Mol Genet 2004,2709-2723)。興味深いことには,小脳プルキンエ細胞死は選択的かつ左右対称性で,そのパターンはセラミドからsphingosine 1-phosphateへの分解酵素であるsphingosine kinaseの発現と密接に関連し,生理的に存在するparasagittal compartment (stripes)の分布にほぼ一致していた。これらサポシンD欠損マウス表現型の解析結果より,サポシンDが生体内においてセラミド代謝に必須の活性化たんぱく質であることが証明され,セラミド(HFA-ceramide)の蓄積と神経細胞死の関連,小脳の発達、維持、病態生理におけるセラミド代謝の役割が示された。
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Research Products
(4 results)