2004 Fiscal Year Annual Research Report
インテグリン結合キナーゼ(ILK)の進行性小児腎疾患における役割解明
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16591035
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
香美 祥二 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00224337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 泰弘 徳島大学, 副学長 (20035471)
吉栖 正典 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (60294667)
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Keywords | ILK / インテグリン / ボウマン嚢上皮細胞 / ポドサイト / メサンギウム細胞 / 半月体 / 糸球体硬化 / 腎不全 |
Research Abstract |
腎不全に至る全ての小児腎疾患には、糸球体メサンギウム細胞(MC)増殖やメサンギウム細胞外基質(ECM)の構築異常、糸球体ポドサイト(Pod)の糸球体基底膜からの剥離(脱接着)、ボウマン嚢上皮細胞(B-Ep)増殖による半月体形成等の細胞生物学的特徴がある。腎炎の進行を左右するこれらの細胞動態におけるインテグリン結合キナーゼ(ILK)の役割を明らかにするために、培養細胞や腎炎モデルを用いて検討した。 1)ラット進行性腎炎モデルにおけるILKの役割の組織学的検討 小児の進行性腎疾患と同様の組織像を呈するラットのThy-1腎炎や半月体形成性腎炎モデルを用いて、ILKの発現様式を免疫組織化学的手法にて検索した。細胞増殖やECMリモデリングのレベルに一致してILKの発現レベルが増加し、半月体細胞にも強くILKが発現してくることが判明した。 2)ラット腎炎モデルにおけるILK発現・活性化の検討 ラットのThy-1腎炎や半月体形成性腎炎の単離糸球体を可溶化し、腎炎糸球体のILK蛋白とILK活性をウエスタンブロット法にて検出した。両者の腎炎で、ILK蛋白とILK活性の増加が見られ、腎炎の進行のプロセスと一致していた。 3)ECMリモデリング、半月体形成におけるILK活性の役割の細胞生物学的検討 培養MC、B-Epそれぞれに、ドミナントネガテイブ(DN)-ILKcDNAを細胞移入し、細胞のILK活性を低下させin vivoの病態に関連した細胞動態の変化を検討した。DN-ILKcDNA導入MC、B-Epは、ECM構築能、遊走能、増殖能が、Mock cDNAを導入した細胞と比較して低下していた。以上より、ILKは腎炎の進行を左右するMC増殖、ECMリモデリング、半月体形成を制御する重要なインテグリン関連シグナル分子であることが判明した。今後、ILKの上流と下流にあるシグナル分子を検討し、効果的なILKシグナル経路の阻害法を開発する。
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Research Products
(3 results)