2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591052
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
大竹 明 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (00203810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 望 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00009672)
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Keywords | 先天性高乳酸血症 / Blue Native電気泳動(BN PAGE) / 皮膚線維芽細胞 / ミトコンドリア呼吸鎖異常症 / イムノブロット解析 / 活性染色 / 血中Lactate / Pyruvate比 |
Research Abstract |
目的:先天性高乳酸血症は最も頻度の高い先天代謝異常症であるが、現在もその6割は病因不明である。本研究はBlue Native電気永動(BN PAGE)を用いてその中でも最も頻度の高い呼吸鎖異常症の病因診断を行うことを目的とする。 材料:高乳酸血症日本人9症例より得た皮膚線維芽細胞。 方法:まずグルコースをガラクトースで置き換えた培地中での線維芽細胞の生育能で呼吸鎖異常症のスクリーニングを行う。4〜13% Blue Native電気泳動で展開後、以下を行う。(i)各種モノクロナール抗体を用いたイムノブロット解析(量と大きさ)、(ii)酵素活性染色(活性) 結果:ガラクトース培地中での生育能に異常を認めた細胞はなかった。呼吸鎖Iについては、イムノブロット解析で複合体量が著減し活性染色で低下を呈した症例が1例、量・活性共に軽度減少を認めたものが5例、量・活性のいずれも正常範囲内と考えられた症例が2例であり、もう1例は泳動パターンが明らかに正常と異なっていた。呼吸鎖IIの複合体量については全ての症例で正常範囲であった。 結果と考察:呼吸鎖I複合体量の著減した1例については呼吸鎖I異常症と確定診断できた。この症例は血中Lactate/Pyruvate比が高値傾向を示した他に臨床的な鑑別点は特に見当たらず、臨床徴候による原疾患の鑑別は困難であると考えられた。今後複合体量の定量化、In vitro酵素活性及び、呼吸鎖III、IVのBN PAGEを用いた解析を進める予定である。 BN PAGEは、膜タンパクなどの疎水性大分子を丸ごと解析できる優れた方法であり、さらにイムノブロット解析を用いることで大きさと量が、酵素活性染色にて酵素活性を調べることができる。BN PAGEはミトコンドリア呼吸鎖異常症をはじめとする高乳酸血症の鑑別・スクリーニングに大変有用であると思われる。
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Research Products
(6 results)