2004 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザ脳症の分子モニタリングによる病態解析
Project/Area Number |
16591056
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
河島 尚志 東京医科大学, 医学部, 講師 (70224772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武隈 孝治 東京医科大学, 医学部, 助教授 (80246173)
柏木 保代 東京医科大学, 医学部, 助手 (00287129)
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Keywords | インフルエンザ脳症 / 亜鉛 / NOx / グルタミン酸 / グリア細胞 |
Research Abstract |
インフルエンザワクチンの定期接種中止後、国内においてインフルエンザ脳症が小児を中心に毎年100-500名と報告されてきている。その死亡率は14〜30%と高率であり後遺症を残すものも多い。その病態の詳細は不明であり、今回NOxを中心とした分子モニタリングにより病態解明を試みた。検体はインフルエンザ脳症患者の血清ならびに髄液を用いNOx・各種アミノ酸の測定はHPLCにて、亜鉛濃度は原子吸光度にて測定した。脳症特異物質の網羅的な検索はmetabolomeによるFT/MSカラムと質量分析器にて行った。対象にはロタウイルス・ムンプス・エンテロウイルス感染などの髄液や他の疾患を含む対象血清と用いた。NOxは髄液中でインフルエンザ脳症において有意差をもって高値を示した。血清中も高値を示したが対象群と有意差はなかった。インフルエンザ脳症を後遺症で分けると必ずしも高値例が予後不良ではなかった。予後良好な他の疾患の一部でもNOxが高値の疾患も認めた。一方、髄液中のアミノ酸解析では興奮性アミンのグルタミン酸は低値をグルタミンは高値を示し、インフルエンザ脳症で特異的な病態が認められ、インフルエンザ脳症ではグリア細胞の活性化が起きている事が推察された。さらに、ラジカルスカベンジャーの役目に大事な亜鉛は脳症患者の一部で明らかに低値を示していた。これらに病態をおこす物質を同定するため網羅的に検索をおこなったところ、分子量246.0092と204.0611の代謝物質が検出された。また、分子量228.0247はインフルエンザ脳症患者で低値を示した。これらの結果からある種の低分子化合物がインフルエンザ脳症にて特異的に検出されること、さらに病態にNOxを中心にラジカル産生と除去およびグリア細胞の活性化性が考えられた。
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Research Products
(6 results)