2006 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザ脳症の分子モニタリングによる病態解析
Project/Area Number |
16591056
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
河島 尚志 東京医科大学, 医学部, 講師 (70224772)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武隈 孝治 東京医科大学, 医学部, 助教授 (80246173)
柏木 保代 東京医科大学, 医学部, 講師 (00287129)
|
Keywords | インフルエンザ脳症 / アストロサイト / NOx / IL-6 / グリア細胞 / nitrotyrosine / アポトーシス |
Research Abstract |
インフルエンザワクチンの定期接種中止後、本邦においてインフルエンザの流行時期に小児を中心に特異な経過をとる脳症が多発している。その特徴は非常に予後不良であること、発熱から神経症状までの発現時間が48時間以内であるものが7割を占めること、5歳以下に集中することなどである。しかし、ウイルス自体は中枢神経系にほとんど検出されず、その詳細な病態は不明である。我々は本研究においてNOxを中心とした分子モニタリングにより病態解明を試みてきた。結果、髄液においてNOxは高値であることと、フリーラジカルの迅速測定により予後を迅速に知れることが知れた。フリーラジカルとIL-6の迅速測定を各種疾患と比較し、インフルエンザ脳症で有意に高いこと、重症度を早期に知れることから実際に臨床応用が可能であった。マウスの径鼻モデルでは嗅球・扁桃体を中心に感染6日にiNOS、nNOSのmRNAの発現が亢進していた。また、TNFやIL-6は脳全体でmRNAでの発現を確認した。病理学的には海馬・扁桃体領域を中心に血管拡張とその周囲におけるアストロサイトの活性化が起こっていた。さらにNOによる障害を示すnitrotyrosineが海馬・扁桃体領域に血管拡張部位に認めた。また、髄液でアポトーシスに関与するgranzymeが検出されること、およびマウスの実験系において接種翌日に海馬領域にアポトーシスが病理学的に観察しえ、感染早期にアポトーシスが関与することが判明した。これらの結果から病態にアポトーシスから始まるNOxが中心としてラジカル産生とグリア細胞の活性化が考えられた。これに伴うBBBの破綻が脳症の予後を決定するものと考えられた。さらにこれらのNOxを含めたフリーラジカルを早期に測定することで治療方針が立てられることが判明した。
|
Research Products
(7 results)