2005 Fiscal Year Annual Research Report
小児の造血障害疾患病像移行と残存造血能に関する基礎的研究
Project/Area Number |
16591058
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
小原 明 東邦大学, 医学部, 教授 (00142498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳山 美香 東邦大学, 医学部, 助手 (50339173)
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Keywords | 造血障害 / 再生不良性貧血 / 骨髄異型性症候群 |
Research Abstract |
研究の目的 血液学的に全く異なった疾患と考えられてきた白血病・MDSと再生不良性貧血の両疾患は、その境界の不明瞭さが改めて認識されている。両疾患の鑑別診断は通常の血液細胞形態の観察と染色体分析が主体となっているが、実施可能かつ鑑別精度の高い細胞形態のスコアリングシステムは開発されていない。一方で治療前後の残存正常造血能の評価方法は確立されておらず、治療中止の指標がない。 診断時骨髄細胞の形態観察と染色体分析・残存造血能の結果を、症例の追跡調査と同期した前方視的研究として行い、以下の3点を達成する。1)再不貧・MDS鑑別細胞形態スコアリングシステムの開発。2)再不貧・MDS症例における白血病化リスクによる染色体異常リスク分類の確立。3)治療前後の残像造血能評価システムの開発。 平成17年度の研究成果 1)小児血液学会再不貧委員会の再不貧データベースと、同学会骨髄異形成症候群委員会のMDSデータベースを診断年度で突き合わせを行い、両疾患の境界領域症例の抽出を後方視的に試み、その後の臨床所見の変化、治療必要性、予後について検討した。その成果を2006年4月国際小児MDS会議(ドイツ)において発表する。 2)再不貧・MDS鑑別細胞形態スコアリングシステムの開発の一段階として、上記の骨髄異形成症候群委員会が実施している細胞形態評価が実施された標本をレファレンスサンプルとして観察した。2006年度は新規症例をテストサンプルとして評価する。 3)再不貧の残存造血能評価の一方法として、多次元フローサイトメトリー法を用いた造血再構築評価を試みた。対象は免疫抑制剤反応良好の再不貧例の治療後骨髄細胞、MDS-RAとの鑑別が問題となる中等症再不貧(無治療例)の診断後6か月の骨髄である。その成果は2006年9月の日本臨床血液学会に発表予定である。
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