2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト型抗ロタウイルス中和抗体の作成と、それを利用した感染防御・治療法の開発
Project/Area Number |
16591064
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
守口 匡子 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (60298528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 孝喜 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (40094213)
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Keywords | ヒトロタウイルス(HRV) / 交叉応性 / ヒト型モノクローナル中和抗体 / ファージディスプレイ / VP4 / VP7 / 中和エピトープ / 受動免疫 |
Research Abstract |
乳幼児下痢症の主たる病原体であるヒトロタウイルス(HRV)に対しては、感染・発症を防御するワクチン開発が急務とされる一方で、抗体の経口投与による受動免疫の効果も確認されている。従って、in vitro系で産生可能な交叉反応性ヒト型モノクローナル中和抗体(N-mAb)は、特に免疫不全・免疫抑制状態にある患者に対して、治療や予防に有効であることが期待されるとともに、それらが認識する中和エピトープの解析は、有効なワクチン開発に寄与するところが大きい。 平成16年度には、平成15年度までにファージディスプレイ法により単離した、複数のHRVに対して中和活性を有するヒト型のN-mAb 12クローンのうち、代表的な3クローン(1-2H、2-3Eおよび2-11G)に関して解析を継続した。まず、3抗体に対する抵抗性変異株(V-1-2H、V-2-3E、V-2-11G)を単離し、その遺伝子を解析した結果、V-1-2HとV-2-3Eは、いずれもVP4遺伝子のVP8^*領域内(それぞれアミノ酸No.170およびNo.203)に、V-2-11Gは、VP7遺伝子上(アミノ酸No.149)に、単一アミノ酸置換につながる変異が確認された。それらはいずれも、これまでに報告されているマウスN-mAb抵抗性変異株に検出された変異とは異なっていた。また、これら3つのヒト型N-mAb抵抗性変異株は、これまでに当研究室で単離された、全てのマウスN-mAbに中和されること、そして、それらマウスN-mAbに対する抵抗性変異株は全て、1-2H、2-3E、2-11Gのいずれにも中和されることが確認され、中和抗体の認識に重要なアミノ酸配列は、ヒトとマウスの抗体で異なる可能性が示唆された。さらに、1-2H、2-3E、2-11Gの受動免疫効果を、マウスのモデル実験系を用いて検証したところ、いずれのN-mAbにも、下痢発症の抑制効果が確認された。
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