2004 Fiscal Year Annual Research Report
小児生活習慣病の原因としての多代謝症候群の背景因子における酸化ストレスの関与
Project/Area Number |
16591067
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
朝山 光太郎 産業医科大学, 医学部, 助教授 (70129310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土橋 一重 産業医科大学, 医学部, 助手 (60260569)
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Keywords | 肥満 / 多代謝症候群 / 酸化ストレス / アディポサイトカイン / 脂肪細胞 / 神経ペプチド / 糖尿病 / 生活習慣病 |
Research Abstract |
肥満児では血中アディポネクチンは内臓脂肪の増加を反映して減少する。産業医科大学小児科に通院中の6例の1型糖尿病患児の血清アディポネクチン値の変動を検討した。初診時(未治療時)のアディポネクチン値は、対象児の値と変わらず、インスリン投与によって血糖がコントロールされた状態では、有意に上昇し、初診時の平均1.8倍となった。皮下注療法を受けている1型糖尿病児ではインスリン作用が末梢組織で過剰となっているためである。3T3-L1培養脂肪細胞では、成熟と共に抗酸化酵素レベルが上昇したが、TNF-αはこれを抑制し、酸化ストレスを高めた。抗酸化剤N-アセチルシステイン(NAC)は酸化ストレスを下げて、TNF-αの作用を中和した。TNF-αは脂肪細胞のNF-κB活性化を介して、plasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)、インターロイキン-6などの転写を高めて、アディポネクチンの遺伝子発現を抑制し、炎症性サイトカインとして、metabolic syndromeの発生を助長した。NACはI-κBを安定化させて、TNF-α作用を中和した。Galanin-like peptide(GALP)は視床下部弓状核(ARC)に発現する神経ペプチドであり、レプチンによって抑制的に調節され、摂食促進作用を有する。摂食刺激因子neuropeptide Y(NPY)や摂食抑制ペプチドproopiomelanocortin(POMC)についても、ラットARCにおける遺伝子発現をin situハイブリダイゼーションで検討した。GALP発現は生後14日目から認められ、21-40日に著明に増加した。一方、NPYやPOMCの発現は出生当日から認められ、生後早期に発現が増加した。今後GALPの生理的役割をさらに解明することが必要であると考えられた。
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Research Products
(3 results)