2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591074
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉村 洋子 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (70291698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 幸子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40231451)
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Keywords | 心臓 / 心臓神経堤細胞 / 発生 / 心臓冠状動脈 / 形態形成 / 細胞外基質蛋白 |
Research Abstract |
冠状動脈の奇形には左冠状動脈肺動脈起始症(BWG症候群)、冠状動脈瘻、冠状動脈口の先天性狭窄または閉鎖、単一冠状動脈、左冠状動脈洞からの右冠状動脈起始などがある。これら心臓冠状動脈の起始や異常は、総動脈幹遺残、完全大血管転換、心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖などの治療に重要なウエートを占めている。さらに川崎病、アテローム性動脈硬化症、ステント留置後の冠動脈再狭窄でも冠状動脈は問題となる。冠状動脈は、初期胚の肝臓と静脈洞の間に形成される横中隔間葉組織(proepicardial organ、以下PEO)由来の細胞から形成されると考えられており、最終的に大動脈に接合してその機能を果たすことができる。前年度、我々はウズラPEOをニワトリに移植(PEOウズラ-ニワトリキメラ)して各発達段階でのPEO由来細胞の細胞分布図を作成し、冠状動脈が大動脈に接合するのはフ卵9日目であることを見出した。今年度は、実験材料としてテネイシンノックアウトマウス心臓も含めて細胞外基質蛋白であるテネイシンCと冠状動脈発生の検討をおこなった。テネイシンは、一般に胎児期の形態形成、創傷治癒、癌間質に発現する。特に発生過程ではあたかも形態形成遺伝子のように限られた部位に一過性に現れるという極めて特徴的な発現様式を示し、細胞の遊走や分化の制御をはじめ、形態形成で多くの機能を持つと考えられている。心外膜直下のPEO由来細胞の間葉転換にテネイシン発現がみとめられ、上皮-間葉転換にテネイシンが関与することが示唆された。しかし、心筋内に潜り込むPEO由来細胞(心筋間質細胞)付近にはテネイシン発現は認められなかった。冠動脈の大動脈開口部はウズラPEO細胞で形成されている。時間空間的に検討したところ、冠動脈が大動脈に接触する以前にテネイシン発現が認められるが、冠動脈開口時にはテネイシンは消失した。テネイシンノックアウトマウスのデータを合わせると冠動脈形成にテネイシンが重要な役割を示すことが示唆された。
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Research Products
(7 results)