2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト遺伝性疾患GCPSの相同疾患マウスにおける無嗅脳症と多指症の分子メカニズム
Project/Area Number |
16591075
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
成瀬 一郎 鳥取大学, 医学部, 教授 (20113326)
|
Keywords | 無嗅脳症 / 多指症 / NTD / GCPS / Gli3 |
Research Abstract |
Pdn/Pdnの約17%は外脳症を発症するが、このPdn/Pdnにカビ毒であるオクラトキシンA(OTA)を投与すると、神経管閉鎖異常が53.8%まで増加した。つまり、Pdn/PdnはOTAによる催奇形性の感受性が高いことを意味している。感受性の高さは、Gli3遺伝子発現量が抑制されていることに原因していると考えられる。OTA投与後、胎生9日の胚を摘出し、卵黄嚢膜からジェノミックDNAを抽出し、遺伝子型を決定した後、whole mount in situ hybridization法で胚本体における遺伝子発現を調べた。遺伝子型は、責任遺伝子であるGli3のイントロン3とトランスポゾン内にプライマーを設計し、そのPCR産物から決定できる。 whole mount in situ hybridization法では、Gli3に関連する遺伝子として、ShhとFgf8の発現を調べた。Shhは、ventral forebrain、floor plate、notochordに発現が認められたが、無処理のPdn/Pdnは+/+と比較して差が認められず、OTA投与による変化も認められなかった。 一方、Fgf8では、無処理の+/+でanterior neural region(ANR),commisural plate、dorsal istkmal neuroepitheliumに発現が認められた。無処理の+/+のANRにおける発現に比べ、Pdn/Pdnでは強く、細長く発現していた。OTA処理した9日胚では、ANRにおけるFgf8遺伝子発現がさらに広がっていた。遺伝子発現量の増減をリアルタイムPCR法で調べたが、差を認めることはできなかった。 本実験の過程で、非常に興味ある事実が見出された。すなわち、神経管閉鎖障害を持つ胎生18日の胎仔を調べてみると、極端にオスに偏っていた。胎仔組織の一部からgenomicDNAを抽出し、SRY遺伝子内にプライマーを設計し、遺伝的に性の鑑別を行ったが、メス胎仔がオス化していることはなかった。上記の原因は、OTAが性を決定する遺伝子に何らかの影響を及ぼしていることが推察され、今後、このテーマでも実験したい。 このように、GCPSの相同疾患動物を使って、遺伝子と環境要因の相乗効果によって奇形が発症する分子メカニズムを調べた。
|
Research Products
(1 results)