2004 Fiscal Year Annual Research Report
アンギオテンシン受容体に関連した胎児胎内プログラミングの発現制御に関する研究
Project/Area Number |
16591080
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
伊藤 茂 順天堂大学, 医学部, 講師 (20296867)
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Keywords | 胎内プログラミング / エストロゲン / 高血圧 / ブラジキン / wire myograph |
Research Abstract |
初年度は出生後の血圧の変化と女性ホルモンの影響を以下の要領で実験を行い検討した。 [方法]Wistar ratを妊娠中、通常餌群(C)と、その50%蛋白質制限群(R)に分け出産まで飼育し、出後は仔の雌のみを通常餌で飼育した。生後50日目にC群・R群それぞれ卵巣摘出(X)、sham手術(O)を行った。生後50〜175日目に25日毎にtail cuff methodにて血圧測定を行った。また、生後175〜185日目にかけ安楽死させ、速やかに腸間膜動脈を摘出し、wire myographを施行した。myographはphenylephrine、U46619、acethylcholine、bradykinin(BK)、sodium nitroprussideを用いた。[成績]平均出生仔数、出生体重、体重増加は両群に有意差はなかった。<血圧>生後75日目よりR群の収縮期血圧が上昇し始め、生後125日目には卵巣摘出ratでC・R群間に有意差を認め(p<0.01)、また175日目には卵巣温存ratでも両群間に有意差を認めた(p<0.01)。<myograph>BKに対する拡張反応ではCX・RX群間に有意な拡張反応の鈍化を認めた(p<0.05)。 今回の実験より以下の結果が得られた。1.妊娠中の低蛋白栄養では低出生体重がないにも関わらず成獣期に血圧上昇を認め、卵巣摘出した場合は、より早期に血圧上昇を認めた。以上よりエストロゲンは胎内プログラミングの高血圧発症の抑制因子として重要な役割を果たしている。2.wire myographの実験から母体低蛋白栄養により誘導された高血圧はBKに対する血管内皮のレセプターの感受性もしくは数への影響が関与していることが示唆された(以上論文投稿中)。今後、BKとアンギオテンシンは密接な関わりがあることから、この点につき研究を進めていく予定である。
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