2005 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚増殖性疾患において発現低下するT型カドヘリン分子による増殖抑制機構の解析
Project/Area Number |
16591097
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松吉 徳久 京都大学, 医学研究科, 講師 (10263071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 憲一 財団法人田附興風会, 北野病院・皮膚科, 部長 (80159045)
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Keywords | T型カドヘリン / 細胞増殖抑制 / 有棘細胞癌 / 遺伝子導入 / RNA干渉 / 細胞周期 |
Research Abstract |
T型カドヘリンは細胞膜貫通領域と細胞質領域を有さない特異な構造を有するカドヘリン分子であり、細胞膜との結合はGPIアンカーによっている。その構造からも予想されるようにカドヘリン分子でありながら細胞間接着機能はほとんどもっておらず、それ以外の機能の存在が示唆されていた。有棘細胞癌や基底細胞上皮癌などの皮膚悪性腫瘍のみならず尋常性乾癬などの非腫瘍性の皮膚増殖性疾患においてT型カドヘリン発現が低下するという事実は、T型カドヘリンが細胞増殖抑制に関与している可能性を疑わせる。我々はT型カドヘリンが細胞増殖に対してどのような影響を及ぼすかについて、ヒト有棘細胞癌細胞株(HSC-1)を用いて検討した。T型カドヘリンを中程度に発現しているHSC-1細胞株を用いて、この細胞株にT型カドヘリンcDNAを遺伝子導入することにより過剰発現させた細胞株を、また逆にRNAi法を用いてT型カドヘリンの発現をノックダウンさせた低発現細胞株を作成した。通常のHSC-1とT型カドヘリン過剰発現株、T型カドヘリン低発現株の三者を用いて、T型カドヘリンが細胞増殖に与える影響を検討した結果、T型カドヘリンが細胞増殖を抑制することがわかった。また、テトラサイクリンによってT型カドヘリンの発現量を調整することが可能な細胞株を作成し、T型カドヘリンの細胞増殖抑制はT型カドヘリンの発現量に依存していることを証明した。そして、その増殖抑制は細胞増殖サイクルのG2/M期を遅延させることにより起こしていることも見いだした。このようなT型カドヘリンによる細胞増殖抑制機構は皮膚増殖性疾患におけるT型カドヘリンの発現低下と相関しており、皮膚増殖性疾患の発症メカニズムの解明やその治療に結びつく可能性が考えられた。
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Research Products
(1 results)