2005 Fiscal Year Annual Research Report
メルケル細胞の細胞生物学的特性の研究-メルケル細胞癌の治療への手がかり
Project/Area Number |
16591104
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
成澤 寛 佐賀大学, 医学部, 教授 (60164498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 卓也 佐賀大学, 医学部, 助手 (50380754)
三砂 範幸 佐賀大学, 医学部, 講師 (90199977)
中房 淳司 佐賀大学, 医学部, 助手 (50253828)
三浦 由宏 佐賀大学, 医学部, 助手 (20304892)
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Keywords | メルケル細胞 / 神経細胞 / 混合培養 / 表皮シート / CK20 / シナプトフィジン |
Research Abstract |
今回、私たちは、メルケル細胞の初代培養を試み、培養条件下での形態、構造について検討した。実験1では、材料としてラットの足蹠Footpad足の裏の皮膚を用いた。メルケル細胞の局在をCK20で確認すると表皮突起の先端に陽性に染まる細胞として同定可能であった。そこで、メルケル細胞は基底細胞層に存在するためその部位を露出させた。つまりWisterratの4週齢のオスの足蹠の表皮シートを作成し、得られた表皮シートを適度に消化し、基底細胞層の細胞のみを剥がし、ろ過を行った。それを、遠心分離機にかけると、メルケル細胞を含む基底細胞がcell pelletとして採取できた。これらを培養液に入れ、培養した。培養3日目には、突起を伸ばし周囲のケラチノサイトとは明らかに異なる形態の細胞が存在し、CK20で陽性にそまり、メルケル細胞と同定した。そのほか、培養細胞でも、隣接するケラチノサイトに突起を突き出している像もみられ、生体での所見と一致していた。実験2として、実験1で獲得したメルケル細胞を用いて、生体で特異的な接着を示すといわれている神経細胞との混合培養を行った。その結果、神経細胞との混合培養条件の方が、より多くのメルケル細胞を獲得することができた。培養3日目には、メルケル細胞と神経細胞の混合培養条件下において、特異的な接着が観察された。CK20とシナプトフィジンの二重染色では、メルケル細胞と神経細胞の特異的な接着が観察された。神経細胞培養液のみを添加した状態での培養では、メルケル細胞には変化は見られなかったため、直接接触する因子が必要ではないかと考えた。透過型電顕でも有芯顆粒をもつメルケル細胞と、神経終末との特異的な接着所見が得られた。神経細胞の混合培養条件下では、より多くのメルケル細胞を獲得することが定量的に確認できた。総括として、(1)メルケル細胞の初代培養に成功した。(2)メルケル細胞と神経細胞の混合培養条件下で、メルケル細胞の機能を示唆する神経細胞との特異的な接着がみられた。(3)メルケル細胞と神経細胞の混合培養条件下で、より多くのメルケル細胞を得ることができた。
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