2004 Fiscal Year Annual Research Report
トリブチル錫暴露マウスを用いた内分泌撹乱物質のアレルギー疾患に及ぼす影響について
Project/Area Number |
16591109
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
高橋 一夫 横浜市立大学, 医学部, 講師 (40264618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 琢磨 三重大学, 医学部, 助手 (60224515)
千葉 由幸 横浜市立大学, 医学部附属病院, 助手 (20297493)
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Keywords | トリブチル錫 / Th1 / Th2バランス / 内分泌撹乱物質 |
Research Abstract |
我々はアレルギー疾患急増の理由を知りたいと考えている。一般にアレルギー疾患は遺伝因子と環境因子が複雑に絡んで発症すると考えられている。この50年間で日本人の遺伝因子はほとんど変わってないはずなので環境要因の変化が重要と思われる。環境要因は多岐に及ぶが、我々はこれまで化学物質が身のまわりに増加したことがアレルギー疾患を増やしていると考え研究してきた。今回はB6マウスやアレルギー疾患モデルマウスに対するトリブチル錫(TBT)暴露によるマウス免疫系への影響を検討した。【方法】(1)0.01%あるいは0.001%TBT暴露により4週間飼育したB6雌マウスの脾臓を採取し、リンパ球表面マーカーをFACS解析した。(2)TBT暴露したマウス脾臓よりリンパ球浮遊液を調整し、ConAやLPSで刺激した後IFN-γ、IL-4につき細胞内サイトカインを染色しその割合をFACS解析し、培養上清中のサイトカインを測定した。(3)TBT暴露マウス脾臓から細胞浮遊液を調整し、MACSでCD11c陽性の細胞を抽出し、これにLPS刺激した際のサイトカン産生を測定した。(4)TBT暴露マウスを用いてOVA感作による喘息モデルを作成しTBT暴露の効果を調べた。(5)アトピー性皮膚炎様皮疹を自然発症するマウスを用いてTBT暴露の効果を観察した。【結果】TBT暴露したB6マウスの脾臓では有意にNK細胞、NKT細胞、CD4+CD25+T細胞が低下しており、自然免疫や調節系を数のうえで抑制していた。脾臓細胞浮遊液をConA刺激した際の細胞上清中のサイトカイン産生能はIFN-γで有意に低下していた。TBTの樹状細胞(DC)への影響では、CD11c+ClassII+DCの割合が有意に増加していたが、LPS刺激ではIFN-γ産生は有意に低下していた。OVAによる喘息モデルではTBT暴露マウスにおいて肺胞洗浄液中の好酸球、IgEの有意な増加を認め脾臓から調整した細胞浮遊液のOVA刺激後にIL-4、IL-13産生細胞の有意な増加を認めた。ADモデルマウスではTBT暴露により明らかな皮疹の悪化を認めた。【考察】完成された免疫系に対してTBTは自然免疫系を抑制し、獲得免疫系をTh2系にシフトさせる作用が示唆された。アレルギーモデルでも、曝露群でTh2へのシフトが観察されたので実際の疾患でもTBTのような化学物質に暴露されることがTh2へのシフトに拍車がかかり症状の悪化として捉える事ができるようになると考えられる。
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Research Products
(4 results)