2004 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線による免疫抑制効果におけるToll Like Receptor(TLR)4の役割
Project/Area Number |
16591112
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
新関 寛徳 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (10228124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 幸子 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30094626)
浅田 秀夫 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (60252681)
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Keywords | 紫外線 / TLR4 / 自然免疫 / 接触過敏症 / ランゲルハンス細胞 |
Research Abstract |
紫外線照射部位では、ランゲルハンス細胞数が減少し、同部位からの接触過敏症の誘導が阻害されるが、TLR4欠損マウスであるC3H/HeJ(HeJ)では、接触過敏症(contact hypersensitivity, CH)の誘導が阻害されない、すなわち紫外線抵抗性であることが報告されている。そこで、今回TLR4を直接刺激することによる皮膚への影響を検討するために、大腸菌由来lipopolysaccharide(LPS)を直接真皮注入し、表皮シートにおけるIa陽性細胞(ランゲルハンス細胞)の形態観察および細胞数の測定および、CHの誘導によりTLR4分子の役割を検討した。 まずLPS25μgを真皮注入後、表皮シートを作製、抗Ia抗体、FITC附加抗マウスIgG抗体にて染色し、形態を観察した。BALB/cおよびC3H/HeN(HeN)マウスではPBS注入群に比べIa陽性細胞の細胞体は膨化し、樹枝状突起は減少しており、単位あたりの細胞数も減少していた。以上の所見は紫外線による変化と同等であった。それに対し、HeJでは、形態にほとんど変化はなく、細胞数の変化も観察されなかった。したがって、LPS投与は紫外線照射同様TNF-αが媒介していると考えられたため、BALB/cに抗TNF-α抗体を腹腔投与した6時間後にLPS真皮注入を行った。投与群では、LPS注入による細胞数の変化が認められなかった。以上より、LPS投与による表皮Ia陽性細胞に与える影響は、TLR4を介したTNF-αの作用によるものと考えられた。 一方でCHの誘導相に与える影響を検討するため、HeNにLPSを真皮注入後、0.5%dinitrofluorobenzene(DNFB)をマウス腹部皮膚に塗布し、5日後0.05%DNFBによる耳介challengeを行い、24-72時間後の耳介腫脹を測定した。LPS注入マウスでは、PBS注入群に比べ有意に耳介腫脹の程度が強かった。それに対し、HeJおよびBALB/cでは、有意差を認めなかった。すなわち紫外線照射によりTNF-αを介してCHが阻害されるという報告とは逆の結果であった。 以上よりLPS注入皮膚における表皮Ia陽性細胞の遊走にはTLR4を介したTNF-αによる作用が関与しているが、CHに関してはTLR4を介しているものの、紫外線照射と異なりTNF-α以外の因子による結果である可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)