2005 Fiscal Year Annual Research Report
抗精神病薬による耐糖能異常発症メカニズムの脳代謝機能イメージング
Project/Area Number |
16591127
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
村田 哲人 福井大学, 医学部, 助教授 (80200294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤林 康久 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50165411)
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Keywords | 脳スライス / ポジトロン標識化合物 / グルコース代謝 / 抗精神病薬 / 耐糖能異常 / 脳機能イメージング / 膜透過性 / 膜流動性 |
Research Abstract |
平成16年度の結果を踏まえて、我々は抗精神病薬による膜透過性の亢進が膜の流動化に関連するものではないかと仮定した。そこで本年度の研究では、ラットの脳組織において抗精神病薬により誘導される細胞膜の透過性の変化と細胞膜の流動性の変化との関連を調べた。膜透過性の評価は、dPATにFDGを適用し、ラット脳切片からのFDG-6-phosphateの流出を評価することにより行った。膜流動性の評価は、蛍光プローブであるdiphenylhexatriene(DPH)を用いた蛍光異方度(anisotropy;膜流動性とは逆の関係にある)の測定により行った。抗精神病薬としてchlorpromazine、haloperidol、risperidoneおよびsulpiride(10μMから1mMまで)の投与を行った。dPATの結果、chlorpromazineでは100μM以上を投与した場合、haloperidolとrisperidoneでは1mM投与した場合のみ、FDG-6-phosphateの細胞外への流出と蛍光異方度の低下(すなわち膜流動性の増加)がみられた。Sulpirideでは、調べた全ての投与量についてFDG-6-phosphateの細胞外への流出と蛍光異方度の低下がみられなかった。以上より、抗精神病薬による膜透過性の亢進に連動して膜流動性の増加がみられ、抗精神病による膜の流動化が膜透過性の亢進のメカニズムに関与していると考えられた。
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