2005 Fiscal Year Annual Research Report
産後うつ病の母親の免疫活性と児の身体脆弱性に及ぼす影響
Project/Area Number |
16591143
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉田 敬子 九州大学, 大学病院, 講師 (30174923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 洋 九州大学, 大学病院, 助手 (20253403)
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Keywords | 周産期精神医学 / 産後うつ病 / 母子相互作用 / ボンディング / 愛着 / 精神免疫 / 乳児 / 身体脆弱性 |
Research Abstract |
【研究目的】 産後の母親の抑うつおよび乳児への感情と、乳児の発育と発達との関連を明らかにする。 【対象と方法】 調査対象は、九州大学病院を受診する妊娠後期の精神面のハイリスク妊婦。ハイリスクの定義は、現病歴か既往歴に精神障害がある、ライフイベントやサポートの欠如など心理社会的脆弱性があることとする。調査項目と時期は、(1)日本版エジンバラ産後うつ病質問票(Edinburgh Postnatal Depression Scale : EPDS、岡野ら1996)、(2)母親の児に対するボンディングの障害(赤ちゃんへの気持ち質問票、吉田ら2003)を出産後1カ月、4カ月、7カ月に、(3)児の発育・発達については出生時の体重、アプガールスコア、出産後1カ月の体重、7カ月のデンバー式発達検査の結果と身体疾患の転帰である。 【結果】 1.産後7カ月まで経過を追えた43例の有効例で、産後1カ月のEPDSが区分点の9点以上は20例(うつ病群)、9点未満が23例(非うつ病群)であった。 2.うつ病群の母親のEPDS得点は、産後1カ月で14点(SD4.6)、4カ月で6.8(SD7.5)、7カ月で7.9(SD5.8)、赤ちゃんへの気持ちの得点はそれぞれ7.9点、4.0点、6.7点と推移し、産後7カ月を除いて非うつ病群と有意差があった。 3.非うつ病群とうつ病群との母親の児の出生体重および5分のアプガールスコアは、それぞれ2897g(SD517)および3028g(SD383)、8.9点(SD0.6)および8.5点(SD1.3)、出生後1カ月の体重は3940g(SD783)および4059g(SD579)であった。また7カ月時ではデンバー発達検査での遅れが、うつ病群に1人のみにみられたが、発育・発達とも両群に有意差はなかった。 【考察】 母親の抑うつや子どもへの感情は、児の体重や身体疾患の脆弱性や発達の遅れの有無という分類には有意に反映されない。母子関係の質的な評価と児の長期予後の調査が重要である。
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Research Products
(4 results)