2005 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸輸送蛋白によるGABA合成能修飾機序の解明とてんかん性病態仮説の検証
Project/Area Number |
16591146
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
植田 勇人 宮崎大学, 医学部, 助教授 (70244192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 暉 宮崎大学, 医学部, 助教授 (10041857)
土井 拓 宮崎大学, 医学部, 助手 (70274793)
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Keywords | てんかん / グルタミン酸 / GABA / トランスポーター / ノックダウン |
Research Abstract |
グルタミン酸-GABAシナプス伝達は再取り込みによって調整されるため、各トランスポーター機能はてんかん性病態における興奮-抑制系間の均衡に影響すると考えられる。グルタミン酸トランスポーター機能調整因子(GTRAP3-18)は、グルタミン酸とEAAC-1の結合性を制御する蛋白であり、さらにEAAC-1経由でGABAニューロン内に取り込まれるグルタミン酸からのGABA再合成を修飾していることから、GTRAP3-18の役割解明はてんかん研究において支持されてきた興奮系-抑制系間不均衡の解釈を深めていくうえで、重要な研究テーマである。PTZキンドリング完成後、GTRAP3-18発現低下の長期持続が特徴的であったため、アンチセンス法を用いてGTRAP3-18ノックダウン操作を行い、てんかん原性獲得・けいれん変化やグルタミン酸・GABA動態を観察した。その結果GTRAP3-18ノックダウン群ではけいれん閾値の低下とキンドリングの早期完成とともに、海馬グルタミン酸・GABA濃度の基礎値上昇がマイクロダイアリーシスによって観察された。GABA基礎値上昇は、GTRAP3-18発現低下によってEAAC-1経由のグルタミン酸再取り込みが昂進し、GABA合成能が促進された帰結であると考察した。てんかんモデルである"キンドリング"完成とそのけいれん準備状態維持と、てんかんにおける発作間歇期の存在と自発けいれんの突発性出現を同時に説明するには、グルタミン酸神経の機能昂進に加えて、その同期発射を保証し発作停止を可能にするGABA抑制系昂進を内包した均衡の成立が不可欠であると考察した。
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