2004 Fiscal Year Annual Research Report
依存性薬剤MDMAが脳内神経伝達物質に及ぼす作用の解明とその中毒状態の治療の開発
Project/Area Number |
16591157
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
西嶋 康一 自治医科大学, 医学部, 助教授 (30198460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 謙二 自治医科大学, 医学部, 教授 (10197113)
平井 伸英 自治医科大学, 医学部, 講師 (90333369)
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Keywords | MDMA / methamphetamine / dantrolene / serotonin / dopamine / hyperthermia |
Research Abstract |
本邦ではMAP(methamphetamine)が依存性薬物の主流を占めているが、近年欧米で流行している依存性薬物MDMA(3,4-methylenedioxymethamphetamine)の乱用が増加し、その乱用が特に若年層において社会問題化しつつある。MAPもMDMAの大量使用後に高熱を呈し、その後死亡する例も少なからず報告されている。しかし現在のところ両者の大量摂取後の中毒症状に対して確立された治療法が存在せず、有効な治療法の確立が望まれている。臨床においてダントロレンはMAPやMDMAによる高熱に対して有効であったとの数件の報告があるが、系統だった基礎実験はなされていない。そこで我々はラット用いてダントロレンのMAPとMDMAによる発熱に対する有効性の検討を行った。 【方法】実験にはウイスター系雄性ラット(200〜250g)を用いた。ラットを個別のゲージに移動し体温が安定したところで、ダントロレン40mg/kgを生理食塩水1.5mlに溶解し経口投与を行い、2時間後にMAP10mg/kgまたはMDMA15mg/kgを生理食塩水で2ml/kgになるよう調整し皮下投与した。ダントロレン投与後は1時間毎、MAPまたはMDMA投与後は30分毎に4時間後まで直腸音を測定した。また生食を経口投与した対照群も同様にMAPまたはMDMAを皮下投与し測定を行った。 【結果】ダントロレン投与群はMAP,MDMA共に対照群に比べ最高温は抑制しなかったが、MAP投与群では投与後30分、180分、210分、240分でMDMA投与群では投与後150分、180分、210分で有意(p<0.05)に体温を抑制した。 【考察】MAPやMDMAの大量摂取によって引き起こされる高体温に対しダントロレンが有用である可能性が示唆された。
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