2005 Fiscal Year Annual Research Report
依存性薬剤MDMAが脳内神経伝達物質に及ぼす作用の解明とその中毒状態の治療の開発
Project/Area Number |
16591157
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Research Institution | JICHI MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西嶋 康一 自治医科大学, 医学部, 助教授 (30198460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 謙二 自治医科大学, 医学部, 教授 (10197113)
平井 伸英 自治医科大学, 医学部, 講師 (90333369)
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Keywords | MDMA / hyperthermia_ / rectal temperature / serotonin / dopamine / risperidone / SCH23390 / 5-HT 2A receptor |
Research Abstract |
昨年は、動物を用いてmethamphetamine(MAP)と3,4-methylenedioxymethamphetamine(MDMA)の高熱反応に対する末梢性筋弛緩薬であるダントロレンの予防効果について検討した。今年度は、セロトニン(5-HT)2A受容体の遮断作用を有するリスペリドン、選択的5-HT 1A受容体antagonistであるWAY100635、選択的5-HT 2A受容体agonistであるリタンセリン、選択的5-HT 2B/2C受容体antagonistであるSB206553、選択的5-HT 2C受容体antagonistであるSB242084、選択的D1受容体antagonistであるSCH23390、選択的D2受容体antagonistであるracloprideの前投与によるMAPないしはMDMAの高熱反応の予防効果について検討を行った。 <方法>実験にはWistar系雄性ラット(180〜250g)を用いた。室温24±1℃の条件下で、ラットを個別のゲージ移動し体温が安定したところで、リスペリドン0.5mg/kg、WAY100635 1mg/kg、リタンセリン3mg/kg、SB206553 2.5mg/kg、SB242084 3mg/kg、SCH23390 0.5mg/kg、raclopride 3mg/kgそれぞれ6匹にラットに腹腔内投与を行い、その15分後にMDMA 10mg/kgを皮下注射した。また対照として生理食塩水を腹腔内投与し15分後にMDMA 10mg/kgを皮下注射した。 <結果>生食とMDMAの投与では、ラットの直腸温は42℃近くまで達したが、リスペリドン、リタンセリン、SCH23390の前投与ではラットの直腸温は有意に抑制された。一方、WAY100635、SB206553、SB242084、racloprideの前投与ではMDMAによる高体温は抑制されなかった。 <考察>MDMAは脳内のセロトニンのみならずドパミンの遊離を促すと報告されている。MAPに比べるとドパミンよりセロトニン遊離のほうが大きく、MDMAによる高体温にはセロトニン神経系の活性の亢進が関与していると考えられている。今回の実験からは、5-HT2A受容体遮断作用のあるリスペリドンやリタンセリンの前投与で体温上昇は抑制されており、MDMAの高体温には5-HT2A受容体の亢進が関与していることが示唆された。また、ドパミンD1受容体遮断作用のあるSCH23390でも、MDMAの体温上昇は抑制されたことから、ドパミンD1受容体も体温上昇にかかわっていることが考えられた。
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