2004 Fiscal Year Annual Research Report
発達精神病理の解明をめざした未熟児-親コミュニケーションの基礎研究
Project/Area Number |
16591160
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡辺 久子 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00255572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 明弘 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20338106)
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Keywords | 乳幼児精神保健 / コミュニケーション的音楽性 / 未熟児-母相互作用 / 音声画像ミクロ解析 / ピッチプロット / 情動的ニューロサイエンス / 間主観的交流 |
Research Abstract |
目的:本研究は発達精神病理の解明をめざし未熟児と母親の相互作用を視覚的、音声的に解明する。近年の情動ニューロサイエンスの知見によると、早期の愛着形成は母子の親密な相互作用から生れる。新生児は母親の内面を察知する間主観性を生まれ持ち、母親の心理に影響される。未熟児は生直後から生理的未熟性ゆえの生命リスクを抱え、母親も新生児集中治療NICUを受けるわが子に不安を抱く。このストレスに満ちた母-未熟児の出会いは、短期的、長期的に児の心身の発達に影響し、発達障害や発達の偏り(学習障害などの軽度発達障害)の素地につながる。本研究では未熟児-母相互作用のミクロレベルの音声学的・行動学的解析を行い未熟児の発達病理のリスクを解明する。 方法:NICUの未熟児と親の相互交流をビデオ収録し、声とジェスチャーと表情を経時的に解析する。Edinburgh大学Trevarthen、C.とSydney大学Malloch, Sのコミュニケーション的音楽性Communicative Musicality理論に基づくPRENEVE (Network on Emotional Vocal Expression in Protoconversations Before Term)のピッチプロットによる方法を用いる。 結果と考察:平成16年度は新生児室におけるノイズ対策が問題になり収録計画が遅れた。2新生児の収録と1症例の音声解析を実施した。ノイズの改善には部屋とマイクの改善と工夫(マイクの種類、装着方法、母親の児の抱き方など)を重ねた。生後1ヶ月未満児と母親の相互作用をパイロット的に研究した。(株)小野測器 猿渡克己氏の技術指導を受け音声解析を行った。児のかすかな声を200-400ヘルツ領域に集中して認め、pulseとpitchを把えた。平成17年度には未熟児、新生児双方のデータ収録と解析を実施する。
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