2004 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠覚醒リズム障害に対するビタミンB12の治療効果発現機序に関する研究
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16591165
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
伊藤 洋 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (20151532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山寺 亘 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50230496)
小曽根 基裕 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50246386)
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Keywords | ビタミンB12 / CAP(cyclic alternating pattern) / PVT(Psychomotor vigilance task) / 徐波睡眠 / SSS(Stanford Sleepiness Scale) |
Research Abstract |
近年ビタミンB12(以下B12)は概日リズム睡眠障害に対する有効性が報告され臨床応用されている。その作用機序の一つに睡眠促進作用があるとされる。我々は健常男性被験者8名(平均年齢33.1±4.2歳)を対象にB12の単回静脈内投与を行い、Terzanoらが提唱する睡眠の安定度を示す指標であるCAPを用いてより詳細な夜間睡眠内容の評価を行った。実験期間はB12期間及びプラセポ期間の各1週間(D1-D7)とし各期間は1週間以上間隔をあけて施行した。投与薬剤はB12 500μg、対照として生理食塩水1mlを23:00(D6)に静脈内投与。測定項目は(1)Actigraph : D1-D7、(2)B12血中濃度及び不飽和結合能:22:00(D6)及び23:00(D7)に採血後測定、(3)夜間睡眠内容:Full PSGを0:00(D7)〜7:30まで測定、(4)主観的眠気及び作業能力:9:00(D7)〜23:00(D7)の間、2時間毎にPVT・SSSを施行。結果は、B12投与により、(1)平均B12血中濃度は280.0±90.1から投与24時間後には1876.7±1327.3pg/mlと有意に上昇、(2)睡眠パラメーターにおいて%stage4の平均が8.9±5.1から12.8±5.3%へ有意に増加(P<0.05,Wilcoxon signed-ranks test)。B12投与24時間後の血中濃度と%stage3+4が相関する傾向(P=0.0801、Spearman's rank correlation)、(3)CAP率に有意差はないが56.6±22.8から46.8±24.9%へと低下。B12の単回静脈内投与は徐波睡眠、特にstage4の増加作用を有する可能性が示唆された。また徐波睡眠量とB12血中濃度との間に相関関係を有する傾向を認めたため、今後、連日静脈内投与を行いB12高濃度条件下でのCAP率及び徐波睡眠量の変化を検討する必要性が伺われた。
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