2006 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠覚醒リズム障害に対するビタミンB12の治療効果発現機序に関する研究
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16591165
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
伊藤 洋 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (20151532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山寺 亘 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50230496)
小曽根 基裕 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50246386)
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Keywords | ビタミンB12 / CAP(cyclic alternating pattern) / PVT(Psychomotor vigilance task) / 睡眠作用 / VAS(Visual analog scale) / 精神生理性不眠 |
Research Abstract |
ビタミンB12(B12)は概日リズム睡眠障害に対する有効性が数多く報告され、その作用機序の一つに睡眠促進作用がある。当大学倫理委員会の承認のもと、B12の不眠症者における睡眠のミクロ構造に与える影響の明確化を目的にCyclic alternative pattern(以下CAP)を用いた検討を行った。 対象:本人の文書同意を得た8名の女性精神生理性不眠症(年齢36.5±11.2歳) 方法:1)期間:プラセボおよびB12投与期間、2)薬剤:メチルコバラミン500μgもしくは生理食塩水1mlをPSG検査施行1時間前に単回静脈内投与。3)検査項目:a)活動量計、b)睡眠日誌、c)B12血中濃度および不飽和結合能,d)夜間PSG(0時より7.5時間測定、後日R&K法及びCAP法により視察判定),e)精神作業能力:PVT (Psychomotor Vigilance Task),f)VAS (Visualanalog scale) 結果:B12静脈内投与により…、1)B12血中濃度は有意に上昇した、2)睡眠パラメーターに有意な変化はなかった、3)CAP時間,CAP率(62.6±10.3→53.4±10.4%,p=0.028)、CAPサイクル数、サブタイプA1数(214.4±79.3→133.7±50.0,p=0.018)は有意に減少した、4)起床時の睡眠感、翌朝(8,6,11,13時)の主観的眠気(VAS)、PVTの各指数には有意差を認めなかった。 考察:不眠症者はCAP率が健常者と比べ高値を示すことが海外で報告されており、本研究結果により日本人でも確認された。またB12静脈内投与は不眠症者のCAP率を有意に減少したことから睡眠のミクロ構造の安定化作用を有する可能性が示唆された。特にサプタイプA1が減少したことは、subcortical arousa1発現抑制を介した作用である可能性が示唆された。
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