2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト脳型トリプトファン水酸化酵素遺伝子発現制御領域の構造・機能・多型性解析
Project/Area Number |
16591170
|
Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
松井 宏晃 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (90181685)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 賢一 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (20233504)
廣井 朋子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (20238398)
朝倉 幹雄 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (70103504)
|
Keywords | トリプトファン水酸化酵素1 / トリプトファン水酸化酵素2 / 転写制御領域 / ラット縫線核由来RN46A細胞 / ヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞 / セロトニン神経特異的転写因子 / ヒト肺小細胞癌HSP-77細胞 |
Research Abstract |
平成17年度は、脳内でのセロトニン(5-HT)生合成に関わるヒト脳型トリプトファン水酸化酵素(TPH2)遺伝子プロモーター領域の機能解析を行った。ヒトTPH2遺伝子5'非翻訳領域(8.7-kb)をpGL4に接続後、一連の5'欠失変異体を作製し、ラット縫線核由来培養細胞RN46A細胞へ形質導入し発現制御領域の特定を試みた。しかし、RN46A細胞では形質導入効率が20〜30%であり、また分裂増殖状態を維持するには33℃、神経細胞への分化を促進するには39℃と培養条件が複雑であることから、結果の再現性を考慮した実験条件を決定することが困難であった。そこで、培養が容易なヒト肺小細胞癌株化細胞の中から、TPH2 mRNAが存在する細胞を選別した。その結果、ヒト肺小細胞癌HSP-77細胞において、TPH2 mRNA>TPH1 mRNAであることを見出した。5'欠失変異体を形質導入しプロモーター活性を解析すると、翻訳開始部位から-644/-448までの領域がHSP-77細胞における基本転写活性に必要であった。転写因子結合部位を検索すると、Oct-1結合部位(-627/-615)の3'端の-614には、一塩基多型A(-614)T(rs11178997)が存在する。A(-614)T多型と注意欠陥多動性障害との関連が報告されていることから、現在、-614をA→Tへ変化させたプロモーター活性測定ベクターを構築し、-614多型のTPH2遺伝子プロモーター活性に及ぼす作用を詳細に解析している。RN46A細胞の分化ならびに生存維持には、脳由来神経栄養因子(BDNF)が必要であることがわかり、現在、33℃から39℃へ培養温度を変化させた際にBDNFを培地中に添加することで、安定したプロモーター測定系が構築できるのではないかと考え、予備実験を実施している。
|