2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591172
|
Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
窪田 孝 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (90170034)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
地引 逸亀 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60110532)
|
Keywords | dizocilpine / てんかん精神病 / 脳内微小透析法 / ドーパミン / 5-HT / グルタメート |
Research Abstract |
前年度の研究ではdizocilpine 0.5mg/kgと1.5mg/kg投与は脳内ドーパミンおよび5-HT濃度の変化を引き起こさないという結果が得られた。そこで今回はまず、前年度未実施であったdizocilpineによる脳内グルタメート濃度の測定を行った。 家兎10例を用い、これまでと同様の方法で慢性モデルを作製した。実験はまず10例に脳内微小透析用のマイクロプローブをガイドカニューレに挿入し、2μ1/minで人工脳脊髄液を灌流しつつ、対照記録として一定強度の単発刺激を行い、海馬歯状回群で集合スパイク(PS)と集合EPSPからなる貫通路-歯状回反応波を60分間記録した。次にdizocilpine 0.5mg/kg投与群5例、dizocilpine 1.5mg/kg投与群5例にそれぞれ分け、腹腔内へそれぞれdizocilpineを投与した。その後反応波をそれぞれ60分間記録し、dizocilpineによるけいれん発作の出現などの行動異常を観察した。さらに貫通路に弱いテタヌス刺激を加え、60分間反応波を記録してLTP(長期増強現象)の発現を観察した。この間、実験開始から終了まで継時的にマイクロプローブから海馬歯状回の細胞外灌流液を採取し、グルタメート濃度をこれまでと同様の方法で測定した。これらの結果を前年度に用いておこなった、コントロール群の結果と比較検討した。 グルタメートはdizocilpine 0.5mg/kg、1.5mg/kgいずれの投与量でも実験開始から終了まで有意な濃度変化はなかった。集合スパイク(PS)と集合EPSPは、dizocilpine 0.5mg/kg、1.5mg/kg投与後に変化はなかった。テタヌス刺激後LTPの発現はdizocilpine 0.5mg/kg、1.5mg/kgいずれの投与量でも抑制された。 当初の実験計画ではdizocilpineによって引き起こされた脳内グルタメートの濃度変化に対するclozapineの効果をみる実験をおこなう予定であったが、dizocilpine 0.5mg/kg、1.5mg/kgいずれの投与量でもグルタメート濃度に変化は見られず、また集合スパイク(PS)と集合EPSPからなる貫通路一歯状回反応波もdizocilpine 0.5mg/kgと1.5mg/kg投与後で変化が見られなかった。したがって脳内グルタメートの濃度変化に対するclozapineの効果をみる実験は中止とした。
|