2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591175
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大西 哲生 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, 研究員 (80373281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 和男 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, 研究員 (10322695)
吉川 武男 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, チームリーダー (30249958)
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Keywords | IMPA2 / リチウム / 熱性けいれん / 躁うつ病 / イノシトールリン酸 / 統合失調症 |
Research Abstract |
躁うつ病、統合失調症といった精神疾患の連鎖領域である18p11に存在すること、後にいくつかの報告でこれらの疾患と本遺伝子との遺伝統計学的関連が認められることから我々は、IMPA2遺伝子の機能に注目している。さらにこの遺伝子産物は、気分安定薬として頻繁に使用されているリチウムの標的の有力な候補と考えらてきたIMPA1と高い相同性を持っている。このような背景から、この遺伝子産物の機能がどのようなものなのかは非常に興味が持たれるが、現在まで全く報告が無かった。 我々は本研究により次のことを明らかにした。A.IMPA2転写産物はマウス脳内で広く一様に発現し、多くの部位でIMPA1と重なってるが、一部にIMPA2に特異的な染色部位が見られる(in situ hybrydization)。B.IMPA2は、IMPA1と同様ホモ複合体を形成する。しかしながら、IMPA1-IMPA2のヘテロ複合体は形成しない。C.組み替えIMPA2タンパク質は、マグネシウムイオン依存的なmyo-inositol monophosphatase活性を示す。しかしながらその活性は、IMPA1と比較して極めて微弱である。D.IMPA2はmyo-inositol monophosphataseを基質とした場合、極めて限定的にしかリチウムに阻害されない。E.多くのイノシトールリン酸関連物質をスクリーニングしたが、IMPA2特異的に強く脱リン酸化するものは現在まで発見されていない。 以上のことからIMPA2は、IMPA1と構造的に極めて相同性が高いにもかかわらず、その酵素学的性質は全く異なっていることが示唆された。またIMPA2は、リチウム療法の直接の標的ではないことが示唆された。今後とも、IMPA2特異的な基質の探索などを中心に解析を続けるとともに、遺伝子改変動物などを用いて精神疾患との関連を探る予定である。
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Research Products
(6 results)