2004 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆疾患に対する活動型ミクログリアの生体内定量による早期診断
Project/Area Number |
16591177
|
Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
鈴木 和年 独立行政法人放射線医学総合研究所, 画像医学部放射薬剤製造開発室, 室長 (90162932)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須原 哲也 独立行政法人放射線医学総合研究所, 脳機能イメージング研究開発推進室, 室長 (90216490)
池尻 義隆 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (30294086)
朝田 隆 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (90184142)
|
Keywords | アルツハイマー型認知症 / ミクログリア / PET / 中枢型ベンゾジアゼピン受容体 / 早期診断 / 生体内神経画像 / 神経変性疾患 / DAA1106 |
Research Abstract |
研究目的) 活性型ミクログリアの定量化によって、細胞障害の結果ではなく、変性過程を直接に観察しえることが期待できる。さらにミクログリアの活性化に伴いミクログリア上に存在する中枢型ベンゾジアゼピン受容体密度が特異的に増大することから、この受容体密度を測定することで間接的に活性型ミクログリアを定量することが可能となる。軽度から中等度のアルツハイマー型認知症患者において、中枢型ベンゾジアゼピン受容体に対して特異的に結合する放射性薬剤である[^<11>C]DAA1106を用いたPET検査を施行し、同年齢の健常被験者群と比較を行った。 研究方法) NINCDS-ADRDAにおいてアルツハイマー型認知症の基準を満たす患者10名および患者の年齢と同程度の正常被験者11名に対して、10分のトランスミッション後、[^<11>C]DAA1106静注後90分間脳内の放射能を測定した。またPETによる定量測定のための補助的形態情報を得るためMRIによる頭部撮像も合わせて実施した。MRI頭部画像を参照し関心領域を小脳、前頭葉、外側側頭葉、内側側頭葉、頭頂葉、後頭葉、前部帯状回、視床、線条体において設定し、動脈血血漿中の放射能量を用いた3コンパートメントモデルを用い各領域の受容体結合能を求めた。得られた受容体結合能の差異を患者および健常被験者間で比較を行った。 主な研究結果) アルツハイマー型認知症患者の脳内中枢型ベンゾジアゼピン受容体結合能は測定した領域のすべてで有意に増加していた。さらにその変化は比較的認知障害の軽度であるか、発症後間もない症例においても顕著であった。中枢型ベンゾジアゼピン受容体測定を介した活性型ミクログリアの定量化により、神経細胞が障害された結果にとどまらず、神経の変性過程自体をとらえることが可能になると考えられ、神経細胞の障害が顕著になる以前に病的過程の存在を判断しえる可能性が示唆された。
|
Research Products
(5 results)