2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規低酸素マーカー[18F]FRP170による脳虚血域中の生存域検出
Project/Area Number |
16591180
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丸岡 伸 東北大学, 医学部, 教授 (90173947)
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Keywords | ニトロイミダゾール誘導体 / ラット / 局所脳虚血 / 中大脳動脈閉塞 |
Research Abstract |
(研究目的)[^<18>F]FRP170はPET用診断薬であり、低酸素領域に特異的に集積する性質をもつnitroimidazole誘導体に属する。虚血域中の生存領域に強く集積する性質を利用して、脳虚血性ペナンブラを陽性像として描出することが目的である。 (研究方法)ラット局所脳虚血モデルを用いてその薄切脳切片を放射線低酸素マーカーである[^<18>F]FRP170と血流トレーサー[^<14>C]IAPとの二核種オートラジオグラフィーの手法で画像化した。また組織学的に脳虚血中の生存域を同定するために、MCA閉塞モデルラットから得られた脳切片をTTC溶液で染色した。前述の2核種オートラジオグラムと比較した。 (研究成果)1.オートラジオグラムにおいて血流トレーサーで軽度から中等度の血流低下を呈した領域には[^<18>F]FRP170で集積亢進域が認められた。虚血性ペナンブラなどの虚血域中の生存領域に強く集積しているものと推測された。 2.画像解析 血流製剤のオートラジオグラムで体軸に直行する同一線上に等間隔に関心領域を設定した。ROI1を虚血中心部、ROI10を正常部との境界部付近として、血流低下域に10箇所の関心領域を設定した。同一線上の健常部にも連続する5箇所の関心領域を設定した。対側健常部の平均カウントを100として各々のROIの集積百分率を算出した。3頭のROIの集積百分率の平均値からプロファイルカーブを描いた。虚血を生じさせた左MCA領域では血流トレーサーは正常部に比して程度の差はあるものの低下を示した。一方、[^<18>F]FRP170の集積は健常部に比して高い部位と低い部位を認めた。[^<18>F]FRP170が最も高集積を呈した部位では、血流トレーサーは正常部位のおよそ50%の低下を呈していた。 3.TTC染色では左大脳半球深部白質の内側下方寄りが染色不良であり、同部の梗塞が示唆された。同部はオートラジオグラムにて血流製剤の高度集積低下を呈した部位に相当した。この部位は[^<18>F]FRP170の画像上も正常部に比して集積低下を呈した。[^<18>F]FRP170の高集積を呈した部位は上記部位の辺縁から皮質よりに位置し、TTC染色において良好な染色が見られ生存領域が示唆された。
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