2005 Fiscal Year Annual Research Report
生体ホルモンの作用標的特異性放射線防護効果を導入した新しい放射線療法の開発
Project/Area Number |
16591186
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
伊東 久夫 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20095574)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 哲也 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (60234077)
宇野 隆 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (30302540)
磯部 公一 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (80334184)
山本 正二 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (40302567)
|
Keywords | メラトニン / 放射線防護 / 高LET放射線 / 毛細血管拡張性運動失調症 |
Research Abstract |
放射線治療は腫瘍組織に最大限の損傷を与え、正常組織障害を最小限に抑えることが目標である。正常組織を放射線障害から防護する方法に放射線防護剤がある。従来のものは副作用のため、実用化が困難であった。最近、松果体ホルモンのメラトニンに、放射線防護効果が認められている。メラトニンは主として夜間に分泌される内分泌ホルモンで、生体内時計として睡眠、活動のリズムをコントロールしていると考えられている。メラトニンは通常に生体に存在するホルモンであり、欧米では、いわゆる時差ぼけ改善の薬として一般的に使用されている。大量に摂取しても副作用が殆ど無く、実用可能な放射線防護剤として期待されている。本研究では、生体内正常ホルモンであるメラトニンを用いて、X線および炭素線に対する放射線防護効果と、ヒト正常線維芽細胞、ヒトリンパ球、癌細胞におけるレセプター発現の関係を検討し、マウスを用いて動物実験で効果を確認する。さらに、放射線誘発癌と関係する被ばく後の突然変異発生率を、メラトニンが有意に低下させる効果があるかを検討する。本年度は動物(マウス)を用いて防護効果を検討した。使用したマウスは、C3H/HeとAT(Ataxia telangiectasia)ヘテロおよびホモ接合対のマウスである。ATホモ接合体は、放射線感受性が著しく高いことで知られている。ATヘテロ接合体に関しては、放射線感受性は正常とAT歩も接合体の中間との報告が多い。正常人と比べ発癌の頻度が4倍ほど高いと報告されており、放射線治療後の二次発癌の可能性を考慮すると、防護は一層重要になると考えられる。実験方法は、メラトニンを腹腔内投与し非投与群と投与群で生存率を比較し、30日時点で50%に致死を与える線量(LD50/30)をX線、炭素線(13-50keV/μm)を用いて調べた。結果として、いずれのマウスにおいてもメラトニンの防護効果は低・高両LET領域であまり大きくなく、他の放射線防護薬と同様に、大きな効果を期待出来ないことが判った。
|