Research Abstract |
マンモグラフィのモニタ診断への移行に関する医学的安全性を検証するため,乳房ファントムを用いた読影実験を実施した。乳房ファントムはターゲットとして,腫瘤影,石灰化,線維を含むが,通常の精度管理に広く用いられているACR推奨のモデル156に加え,モデル156にはない微小なターゲットを含むCIRSのモデル12Aを使用した。モニタは医療用高精細の5Mモニタ(CRTと液晶モニタ)とし,通常のスクリーン・フィルムで撮影後,50μmのサンプリングピッチでデジタイズしたものを,DICOM画像表示ソフトを用いて9名の読影者によって観察した。腫瘤影,石灰化,線維について,ACRのマンモグラフィの画質評価基準にしたがいスコアをつけ,モニタがCRTか液晶モニタかによる相違,周囲の照明(モニタ面で20ルクス,100ルクス,420ルクスの三段階)による影響を検討した。従来,モニタ診断における読影室の照明は暗い方がよいとされていたが,照度によるスコアの差はみられず,また,判定の再現性にも照明の影響はなかった。CRTと液晶では液晶モニタの評価スコアが平均0.5ポイント高く,液晶モニタの方がよく見えることが判明した。液晶モニタについては,モニタ面の保護フィルタの有無による影響も検討したが,有意差は認めなかった。最近の医療用高輝度高精細液晶モニタを使用するものであれば,照明の影響は臨床的に無視できる範囲であり,モニタ診断への移行にも妥当性があると考えられた。
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