2004 Fiscal Year Annual Research Report
RNA interferenceによるヒト癌細胞の放射線感受性の増感
Project/Area Number |
16591220
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
大西 健 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (50152195)
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Keywords | siRNA / NBS1 / p53 / DNA修復 / 放射線感受性 / 放射線増感 / 癌治療 |
Research Abstract |
目的 より効率のよい放射線癌治療を行うためには、放射線で誘導されるアポトーシスを積極的に増強させるか、放射線照射後も細胞を生存に導く細胞内反応系を阻害することが有効と考えられる。本研究は後者の考えに基づき、放射線によって生じたDNA損傷の修復系を阻害することにより細胞死を誘導し放射線感受性を高めることを目的としている。放射線によって生じたDNAの2本鎖切断は主に2つの修復系(Homologous recombination, HRとNonhomologous end-joining, NHEJ)によって修復される。最近、これら修復系に関与する遺伝子群が同定されその機能が次々と明らかにされつつある。本研究ではHR/NHEJ修復系に関与するNBS1遺伝子の発現をsmall interference RNA(siRNA)によって特異的に阻害することにより、癌細胞を死に導き放射線感受性が高められるかを調べた。 方法 p53欠損ヒト非小細胞肺癌H1299細胞に正常型あるいは変異型p53遺伝子を導入した細胞(H1299/wtp53、H1299/mp53)を用いた。NBS1を標的としたsiRNAを発現するDNAカセット(SEC)をX線照射処理の2日前にliposomeで細胞内に導入した。ウエスタンブロッド法と免疫蛍光染色法でNBS1、リン酸化NBS1、Mre11およびRad50蛋白質の量的変化と細胞内局在、免疫沈降法で蛋白質結合様式を検討した。 結果 1.SECの導入効率は約80%であった。 2.SEC導入によりNBS1タンパク質の蓄積誘導が特異的に抑制された。 3.SEC導入によって放射線感受性が増強された。 4.SEC導入によって細胞生存シグナル伝達因子であるNF-κBとsurvivinの発現が阻害された。 5.以上の結果はH1299/wtp53とH1299/mp53の両細胞で見られた。 考察 NBS1を標的としたsiRNAはp53非依存的な放射線増感作用を示すこと、細胞生存シグナル伝達系の阻害がsiRNAによる放射線増感効果の一因であることが示唆された。
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