Research Abstract |
低フォトンエネルギー擬似X線レーザー装置は銅,ニッケル,モリブデンなどのK系列特性X線の発生に非常に有用である。この装置では,放電により弱電離線状プラズマを形成し,プラズマ軸方向から制動X線の少ないK系列特性X線を発生させる。実験ではクリーンなK系列特性が発生し,2倍と4倍の高調波が発生することから,高いコヒーレンスを有すると推測できる。 電子の加速と反対の方向には制動X線は発生しない。高フォトンエネルギー擬似X線レーザー装置では,対陰極先端に電子を垂直に衝突させ,クリーンなK系列特性X線を発生させる。この装置ではモリブデン,セリウム,タンタル,タングステンのK系列特性X線を発生させることができた。ここで,モリブデンはマンモグラフィーのような軟X線撮影,セリウムはヨウ素造影剤を用いた高速Kエッジ造影,タンタルとタングステンは高速・低線量ガドリニウムKエッジ造影に利用できた。特にタンタルK系列特性X線を用いた場合には,被爆線量を1/10以下に低減することができ,これに関する論文を投稿し,Medical Imaging 2005におけるHonorable Mention Poster Awardを受賞した。次に,充電電圧の増加とともにモリブデンK系列特性X線の吸収係数が減少することから,高調波が出力し,高いコヒーレンスを有することが予想できる。 造影用ポータブルセリウムX線装置を製作し,X線スペクトル,線量,実効焦点径などを測定した。実験ではシャープな34.6keVのKα線が観測され,アルミニウム,硫酸バリウム,酸化セリウムのフィルターを用いて単色化し,冠動脈や下肢のヨウ素Kエッジ造影を行った。CRを用いた造影では100μm程度の血管が鮮明に造影でき,フィルムを用いた撮影では,50μm程度の血管が観察できた。 直径100μmの小焦点X線管から発生するX線スペクトルをフィルターを用いて擬似単色化し,拡大撮影による位相造影を試みた。サンプリングピッチが87.5μmのCR (Konica Minolta Regius 150)を用いた場合にでも50μm程度の微小血管を造影することができた。
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