2006 Fiscal Year Annual Research Report
超高磁場MRIによる人脳内の興奮性及び抑制性神経伝達物質の無侵襲同時計測法の研究
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16591240
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
渡邉 英宏 独立行政法人国立環境研究所, 化学環境研究領域, 主任研究員 (60370269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三森 文行 独立行政法人国立環境研究所, 化学環境研究領域, 室長 (90125229)
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Keywords | 磁気共鳴装置 / グルタミン酸 / γ-アミノ酪酸 / ヒト / 脳 / CT COSY / MRS / 代謝物 |
Research Abstract |
グルタミン酸およびγ-アミノ酪酸(GABA)は人脳内の主要な神経伝達物質である。これ等は、神経変性疾患や精神神経疾患との関連が指摘されており、例えばグルタミン酸はアルツハイマー病との関連が、そしてGABAは分裂病やてんかんとの関連が指摘されている。しかしながら、グルタミン酸は^1H-^1H同核種カップリング(J_<HH>)によるピーク分裂があり、かつ化学構造の類似性からグルタミンと^1H化学シフトが隣接するため、従来の1.5T MR装置あるいは近年増加の傾向にある3T MR装置においても検出することが困難であった。一方、GABAはCrピークに埋もれたピークとなり、検出することは困難であった。本研究では、これ等を鑑み、人用4.7T MR装置上で、興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸とその前駆体であるグルタミン、および抑制性神経伝達物質であるGABAを同時検出することを目的として進め、これまでに局所励起CT COSY法を提案、開発し、人脳からグルタミン酸とGABAを同時に検出できることを実証してきた。 この研究成果を発展させるべく、本年度は、人脳内でのグルタミン酸とGABAを同時に定量化、すなわち濃度計測できる方法を開発することを目標とした。具体的には、上記方法による定量化に必要な緩和時間による信号減衰の補正方法と、2Dスペクトルのカーブフィッティングプログラムの提案および開発を行った。緩和時間補正に関しては、J_<HH>のConstant Time delay(T_<ct>)依存性をシミュレーションより求め、緩和時間を算出できる様にした。これらの定量化要素技術開発後、絶対定量化プロトコルを開発し、模擬試薬を用いて方式を実証した。続いて、ボランティア測定を実施し、人脳内からグルタミン酸およびGABAの同時濃度計測を行い、提案方法により絶対定量化が可能であることを実証した。
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Research Products
(6 results)