2005 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生阻害因子エンドスタチンの腫瘍血管における動態と作用機構の解明
Project/Area Number |
16591250
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山口 典子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (90251553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 傑 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (40134704)
堀 久枝 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (80014190)
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Keywords | ガン / 血管新生 / エンドスタチン / コラーゲン |
Research Abstract |
エンドスタチンは内因性の血管新生阻害剤であり、血管などの基底膜を構成するXVIII型コラーゲンの分解産物で抗がん剤としての臨床試験が進行中である。しかしエンドスタチンの作用機作は依然として明らかではなく、本研究の究極的な目標はがんの増殖抑制、浸潤や転移阻害作用における分子メカニズムを解明することである。昨年度の研究成果からエンドスタチンが数種のMMP(Matrix Metalloproteinase)の活性を阻害し、特に血管内皮細胞膜上に発現するMT1-MMPの活性阻害が顕著なことからMT1-MMPとintegrinα_vβ_3との複合体がエンドスタチンの受容体として機能していると考えられた。この仮説を立証するために種々の抗体を用いて局在を調べたところ、蛍光顕微鏡による観察ではエンドスタチンを暴露した内皮細胞膜上でエンドスタチンとMT1-MMPが共局在していると判断される像が得られた。しかし共焦点レーザー顕微鏡下で3次元的に局在を精査すると、細胞の形態によってエンドスタチンとの局在が異なることが明らかになった。すなわち伸展接着している細胞では、エンドスタチンは細胞の基底面に班状に染色されるが、伸展していない球状の細胞ではエンドスタチンは細胞質内に取り込まれていることが示された。現在integrinとの共局在の可能性を検討しているが、接着班に局在している可能性は低いという結果が得られている。一方異なるアプローチでエンドスタチン受容体の検索を開始した。血管内皮細胞にはエンドスタチンに応答する細胞と、応答性が低下している細胞が存在するが、各々の内皮細胞の発現遺伝子をマイクロアレイにより比較したところ、発現量に有意差が認められた遺伝子は245であり、発現比(log_2)が2以上に亢進している遺伝子が20,-2以下に発現が減弱している遺伝子が8であった。これらの遺伝子発現情報に基づき、エンドスタチンの応答性を支配している遺伝子を特定することにより、受容体をはじめとする反応機構を明らかにする試みを開始した。
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Research Products
(3 results)